プレゼンの直前、頭が真っ白になって、用意した言葉が出てこない。人前で話す緊張は、これまで「場数を踏めば慣れる」と言われてきました。
NHKで32年間マイクの前に立った元エグゼクティブアナウンサーで、サッカーW杯とオリンピックの実況を担当した吉松欣史が代表を務めるTID(サイト名:talk-is-design.com)は、人前で話すことに関する実態調査の結果を発表しました。吉松は現役時代、数百名以上の一流アスリートに「プレッシャーとの向き合い方」を直接取材してきました。
働く人500名に聞いたところ、86%が「本番で頭が真っ白になった経験がある」と回答。さらに、その緊張や苦手意識を「職場の誰にも打ち明けていない」人は5割にのぼりました。多くの人が、誰にも言えないまま本番を繰り返している実態が浮かび上がっています。
■主な調査結果
・働く人の86%が「本番で頭が真っ白になった経験がある」(500名調査)
・緊張や苦手意識を「職場の誰にも打ち明けていない」人は5割(500名調査)
・悩んでいる当事者の84%は「10年以上」悩み続けている(当事者125名調査)
・当事者の55%は管理職・経営者・士業など人前に立つ立場(当事者125名調査)
■調査概要
【調査1】人前で話すことに関する意識調査2026
調査対象:全国の20〜60代の働く男女/有効回答500名
調査方法:インターネット調査(クラウドソーシングパネル)
調査期間:2026年7月実施
【調査2】話し方相談 当事者調査
調査対象:同社に相談を寄せた当事者125名(LINEアンケート)
調査方法:インターネット調査(継続収集中)
調査期間:2026年5月8日〜7月17日
調査主体:いずれもTID(自社調べ)
※本調査は今後も定期的に実施し、経年での変化を公開していく予定です。
では、「職場の誰にも打ち明けていない」5割の人たちは、日々どうやって働いているのでしょうか。答えは、大きな出来事ではなく、目立たない行動の中にあります。会議で意見を求められて「特にありません」と答える。質問があるのに手を挙げない。発表の直前に、体調を理由に交代を頼む。相談の現場で聞かれるのは、人前で話す場面を「乗り切る」工夫ではなく、「そもそも避ける」ための行動です。
この悩みの根深さは、現在は話し方の指導にあたる吉松のもとに、実際に相談を寄せた当事者125名の回答にあらわれています。84%が「10年以上」悩み続けていました(3年以上まで含めると94%)。10年という時間は、場数を重ねる機会が何度もあったはずの長さです。この悩みが「経験不足」だけでは説明できないことを、データが示しています。
悩む場面は「プレゼン・発表・登壇」(78%)が最も多く、「人前でのスピーチ」(65%)、「会議・MTGでの発言」(47%)と続きます。
そして、この125名の55%は、管理職・リーダー(34%)、経営者・フリーランス(17%)、士業・専門職(5%)という、人前に立つことを日常的に求められる立場でした。立場が上がるほど、「実は苦手だ」とは言い出しにくくなる。働く人の5割が「職場の誰にも打ち明けていない」という結果の背景には、この構造があると考えられます。
一方で、これまでこの悩みのためにお金を使ったことが「ほぼない」人は60%。誰にも言えず、対策にも踏み出せないまま、10年が経っていく。日々の業務では人前に立ち続けているのに、悩みだけが動かずに残っている構図です。
なぜ、10年も悩みが動かないのでしょうか。相談の現場でよく聞くのは、「緊張しやすい性格だから、仕方ない」という言葉です。性格なら、変えられない。そう結論づけた時点で、多くの人は対策を探すことをやめてしまいます。
しかし、実際に見えてくる緊張の現れ方は、一人ひとり驚くほど違います。声が震える人。頭が真っ白になる人。準備を何時間してもやめられない人。そして、人前に立つ場面そのものを避け続けてきた人。緊張は「性格」というひとつの塊ではなく、人によって違う「クセ」なのです。
調査結果を受け、TIDは人前で話す際の緊張傾向を16タイプに分類する無料ツール「あがり症16タイプ診断」を公開しました。16問の質問に答えると、自分の緊張がどの場面で、どのような形で現れやすいのかが整理して表示されます。診断は、本記事の関連リンク「あがり症16タイプ診断(無料・16問)」から、会員登録不要で、どなたでも無料で利用できます。
緊張の現れ方を個人の性格の問題として片づけてしまうと、その人がどう困っているのかは周囲から見えにくいままになります。声が震える人、頭が真っ白になる人、準備をやめられない人、人前に立つ場面自体を避けてきた人。今回の調査で浮かび上がったのは、こうした反応が一部の人に限った特殊な事情ではなく、多くの人が同じように抱えてきたクセだったという事実です。
TIDは、この診断結果を無料公開することで、同じ悩みを抱える一人ひとりが「自分だけではなかった」と気づける状態をつくること、そして緊張しやすい人への理解を、周囲の職場や家庭にも広げていくことを目的としています。自分の反応パターンに名前がつくこと。それ自体が、話し方を見直す最初の一歩になると考えています。
■監修者コメント(TID代表・吉松欣史)
「32年間アナウンサーとして放送に立ち続けた私も、本番前の緊張が消えたことは一度もありません。ワールドカップやオリンピックのような、失敗が許されない大舞台の実況であっても、それは変わりませんでした。現役時代、数百名以上の一流アスリートに取材してきましたが、緊張を完全に消して本番に臨んでいる人には、一人も出会いませんでした。彼らは、震える手を無理に抑え込もうということはしていませんでした。「緊張してきた」は、彼らにとって「スイッチが入ってきた」のサインでした。そう捉え直した瞬間から、緊張は力に変わっていく。そのことを、彼らの姿から教えられてきました。本番直前、原稿を持つ手のひらに汗がにじむ感覚は、32年経った今も変わりません。それでも座り続けられたのは、緊張を味方にすることができたからです。今回の調査では、多くの方が誰にも打ち明けられないまま、一人で悩み続けている実態が見えました。まず、自分の緊張がどんなクセなのかを知り、それを味方にしていくこと。そこから始めていただきたいと思います」
■このデータは自由にお使いいただけます
本調査結果・グラフは、報道・記事・SNS・資料等で自由に引用・転載いただけます。ご利用の際は、下記の表記とあわせて調査レポートページ(関連リンク参照)へのリンクをお願いします。
【出典表記の例】
出典:TID「人前で話すことに関する意識調査2026」
調査レポートページには、全設問の集計グラフと、そのまま貼れる埋め込みコードをご用意しています。記事作成にあたって年代別・職種別など追加の集計が必要な場合は、無償でご提供します。また、取材のご依頼には監修者・吉松欣史が個別にコメントいたします。本調査は今後も定期的に実施予定です。
■取材・講演・法人研修のお問い合わせ
本調査に関する取材、講演、法人向け研修のご相談は、お問い合わせページ(関連リンク参照)よりご連絡ください。
■会社概要
社名:株式会社コアコネクト
運営:TID(talk-is-design.com)
代表:吉松欣史(元NHKエグゼクティブアナウンサー)
事業内容:話し方・プレゼンテーション研修、講演