部下とのコミュニケーションの取り方と接し方|自分だけ声が上ずり避けてきた上司も5つの一言で話せる

オフィスの席で部下と資料を見せ合いながら穏やかに話しかける40代の上司
この記事の監修
吉松欣史

元NHKエグゼクティブ
アナウンサー
吉松 欣史
経歴NHKで32年間。W杯・五輪の生放送実況
専門脳科学・心理学を使ったあがり症の克服

ほかの上司は部下と普通に話しているのに、自分だけ声が上ずる。忙しそうな背中を見て今日もやめておこうと席に戻り、気づけば部下に話しかけるのを避けてきた。部下とのコミュニケーションに悩む上司の多くは、最初の一言で止まっています。

部下との会話は、うまく話すことより、決まった時間に短く声をかけることのほうが大切です。1日の中で声をかける時間と一言を先に決めておけば、話すのが苦手な上司でも会話は続きます。吉松欣史の監修で、その取り方と接し方を紹介します。

TOC

部下とのコミュニケーションの取り方:
1日の5つの時間に置く一言

朝、オフィスの複合機の横で、40代の男性の課長がコーヒーカップを片手に、印刷物を待つ30代の男性の部下に軽く声をかけている。2人とも穏やかな表情の近景。顔ははっきり写らない。複合機の画面と紙の文字は読めない

部下とのコミュニケーションがうまくいかない上司は、話す機会を「何かあった時」に任せています。用事がある時だけ話すと、部下にとって上司の声かけは、いつも仕事の確認か注意になってしまいます。だから話しかけられると身構えるのです。

知恵袋の46歳の管理職の相談から

「部下や上司ともコミュニケーションが取りづらくなっているのを感じています。元々、人をまとめたり率先して引っ張って行くのが苦手な性格ということもあり」(46歳・管理職・2024年7月)
※出典:Yahoo!知恵袋「仕事で悩んでいます。3年前から管理職となり」
朝、路線バスの窓際の座席で、40代の男性会社員が窓の外の街並みを見ながら静かに考えている横からの近景。顔ははっきり写らない。車内の掲示や広告の文字は見えない

この方は、部署が変わって部下も上司も入れ替わり、半年以上たっても会話がぎこちないと書いていました。人を引っ張るのが苦手な性格でも、部下と話す場面は作れます。性格を変えるより先に、話す時間を1日の中に決めてしまえばよいのです。

朝、自宅マンションのベランダで、出勤前のワイシャツ姿の40代の男性がマグカップを片手に、手すりの横の小さなテーブルで手帳を開いて今日の予定を確かめている横からの近景。朝の光と植木鉢。顔ははっきり写らない。手帳の文字は読めない

部下に声をかける5つの時間と一言

声をかける時間は、朝・仕事の途中・助かった時・相談された時・帰る前の5つです。どれも1分あれば済みます。下の一言は書き手が作った見本なので、自分の口になじむ言い方に直して、手帳に書いておいてください。

  • ①朝「今日いちばん気になっている仕事はどれ?」
  • ②仕事の途中「どこまで進んだ?困っている所ある?」
  • ③助かった時「〇〇してくれて助かった」
  • ④相談された時「ちょっと待って、手を止めるね」
  • ⑤帰る前「明日の朝、これだけ確認させて」
昼、明るい社員食堂でトレーを持って列に並ぶ40代の男性の課長が、前に並ぶ20代後半の女性の部下に振り返られ、短く言葉を交わしている遠景。顔ははっきり写らない。メニューや掲示の文字は見えない

1回1分でいい理由

部下との会話は、長く話すほど深まるわけではありません。毎日短く話すほうが、部下は「この上司には話しかけていい」と感じます。上司の側も、毎日決まった一言を言うだけなので、何を話そうかと考えて固まることが減ります。

アメリカの調査会社ギャラップは、上司と毎日何らかの形で言葉を交わしている社員ほど、仕事への熱意が高いと報告しています。対面だけでなく、電話やチャットのやりとりも含みます。会う時間が短くても、毎日つながっていることが大切なのです。

※出典:Gallup(2015)Harter & Adkins「Employees Want a Lot More From Their Managers」

昼前、オフィスの通路で、40代の男性の課長と20代後半の女性の部下が書類を手にすれ違いざまに立ち止まり、短く言葉を交わしている遠景。2人とも自然な表情。顔ははっきり写らない。書類と掲示物の文字は読めない

毎日同じ時間に置くと続く

5つの一言は、思いついた時に言うのではなく、時間を決めて置きます。朝は始業の10分後、帰る前は終業の30分前のように決めると、忘れにくくなります。部下の側も、その時間に上司が来ると分かれば、話すことを用意しておけます。

上司と部下のコミュニケーションがずれる3つの原因:
話す量・聞く量・決める順番

午後、オフィスの通路脇にある背の高いスタンディングテーブルで、40代の男性の課長が立ったまま資料を指して説明し、向かいに立つ30代の男性の部下が手帳を持ったまま少し首をかしげて聞いている近景。顔ははっきり写らない。資料と手帳の文字は読めない

上司は伝えたつもりでいるのに、部下は聞けなかったと感じている。上司と部下のコミュニケーションのずれは、ほとんどがこの形です。どちらかが悪いのではなく、話す量・聞く量・決める順番の3つがかみ合っていないことが原因です。

上司が話しすぎて、部下が質問できない

1つ目は、上司の話す量が多すぎることです。説明を丁寧にしようとするほど、上司が話す時間は長くなります。部下は途中で分からない所があっても、話をさえぎって聞くことができず、そのまま「分かりました」と返してしまいます。

夕方、オフィスの給湯室の前で、40代の男性の課長が紙コップを手に立ち止まり、20代の男性の部下の話を黙ってうなずきながら聞いている近景。顔ははっきり写らない。文字は無い

説明の後には、部下が話す時間を必ず残します。「ここまでで、引っかかった所はある?」と聞いてから、10秒は黙って待ちます。上司が黙る時間を作ると、部下はようやく質問を口にできます。

聞いているつもりで、手を止めていない

2つ目は、聞く量が足りないことです。部下が話しかけてきた時に、パソコンを打ちながら「うん、うん」と返していないでしょうか。上司は聞いているつもりでも、部下には「今は迷惑だった」と伝わってしまいます。

午後、設計事務所の大きな作業机で、40代の男性の課長が手に持っていたペンを置き、話しかけてきた30代の男性の部下のほうへ椅子ごと体を向けている近景。図面の文字は読めない。顔ははっきり写らない

部下から話しかけられたら、手を止めて体を部下に向けます。すぐに聞けない時は、「5分後に行くね」と時間を返します。部下の側から上司と話す時の悩みは、コミュニケーションが苦手な人の克服法で、部下の立場から書いています。

結論を急ぎ、部下の話を途中で決める

3つ目は、決める順番です。部下の話を最後まで聞く前に、上司が「それはこうすればいい」と答えを出してしまうと、部下は自分で考えることをやめます。次からは、答えをもらうための最低限の話しかしなくなります。

午前、工場の明るい事務所で、作業着の40代の男性の係長が、作業着の30代の女性の部下の話をクリップボードを胸に抱えて聞いている遠景。顔ははっきり写らない。掲示物と紙の文字は読めない

部下への声かけと話し方:
任せる・お願いする・褒める時の言い方

午後、明るいオフィスのフリースペースのソファ席で、40代の男性の課長がタブレットを持ち、隣に座る30代の女性の部下に仕事を任せる話をしている。部下は前向きな表情でうなずいている近景。画面は見えない角度。顔ははっきり写らない

部下への声かけは、言いたいことが同じでも、言い方1つで受け取られ方が変わります。とくに仕事を任せる時、急ぎのお願いをする時、褒める時は、上司が言いがちな一言と、部下に伝わる一言の差が大きくなります。

言いがちな一言と伝わる一言

よくある5つの場面で、言いがちな一言と伝わる一言を並べました。伝わる一言は書き手が作った見本です。理由と期限を一言足すだけで、部下は動きやすくなります。

場面 言いがちな一言 伝わる一言
任せる 「これ、やっといて」 「A社の件、金曜までに頼める?」
お願い 「急ぎでお願い」 「15時の会議で使うので、14時までに」
褒める 「よくやったね」 「表を1枚にまとめてくれて助かった」
確認 「大丈夫?」 「どこまで進んだか教えて」
断る 「今は無理」 「今日は難しいから、明日の朝に聞くね」
朝、オフィスビルのエレベーターホールで、40代の男性の課長が30代の男性の部下と並んでエレベーターを待ちながら、短く話しかけている横からの遠景。顔ははっきり写らない。表示板と案内の文字は見えない

部下への話し方は結論・理由・期限の順

部下に仕事を頼む時は、何をしてほしいかを最初に言い、その理由、いつまでかの順に話します。経緯から話し始めると、部下は最後まで聞かないと何を頼まれたのか分かりません。頼みごとは、最初の1文で中身が分かる形にします。

話す前に、紙かメモに3行だけ書いておくと、上司自身も言葉に詰まりにくくなります。部下の前で声が上ずる人ほど、言うことを3行に絞っておくと落ち着いて話せます。

夜、自宅のダイニングテーブルで、40代の男性がノートに短く3行書き、それを見ながら小さく声に出して読んでいる横からの近景。湯のみが置いてある。顔ははっきり写らない。ノートの文字は読めない

褒める時は結果より行動を1つ言う

「よくやったね」と褒めても、部下には何が良かったのかが伝わりません。褒める時は、「表を1枚にまとめてくれた」のように、部下がした行動を1つ言います。どこを見てくれていたかが分かると、部下は次も同じことを続けようと思えます。

部下とのコミュニケーションが難しいと感じる時:
話してくれない・本音が見えない

午後、オフィスの窓際の小さな丸テーブルで、40代の男性の課長と20代後半の男性の部下が向かい合って座り、部下が少し下を向いて考え、課長は急かさずに待っている近景。顔ははっきり写らない。文字は無い

声をかけても、部下の返事が「大丈夫です」「特にないです」だけで終わる。部下とのコミュニケーションが難しいと感じるのは、こういう時です。けれども、部下が話さないのは、上司を嫌っているからとは限りません。

「大丈夫です」だけの部下に聞く一言

「大丈夫?」と聞けば、多くの部下は「大丈夫です」と答えます。はい・いいえで答えられる聞き方では、本音は出てきません。「今の仕事で、一番時間がかかっているのはどこ?」のように、場所や中身を答える形で聞きます。

昼過ぎ、営業車の車内で、運転席の40代の男性の課長が前を見て運転しながら、助手席の30代の男性の部下の話を聞いている近景。窓の外に郊外の道路。顔ははっきり写らない。文字は見えない

答えが返ってきたら、すぐに助言をせず、「そこが大変なんだね」と一度受け止めます。助言は、部下が「どうしたらいいですか」と聞いてからで十分です。質問の作り方は質問力の鍛え方で詳しく紹介しています。

昼、会社の近くのそば屋のテーブル席で、40代の男性の課長と30代の男性の部下が向かい合って座り、課長が話を聞きながらうなずいている近景。顔ははっきり写らない。メニューや店の文字は見えない

年上の部下・女性の部下・リモートの部下

年上の部下には、仕事の指示は上司として伝えつつ、経験への敬意を言葉にします。「〇〇さんならどう進めますか」と意見を聞く形にすると、立場の差がやわらぎます。言葉づかいは丁寧語を基本にすれば、無理に崩す必要はありません。

女性の部下にも男性の部下にも、変えないことがあります。全員に同じ時間に声をかけ、同じように仕事の話をすることです。リモートの部下には、チャットで朝の一言を送り、週に1回は顔を見て話す時間を作ると、つながりが切れにくくなります。

午前、自宅の書斎で、40代の男性の課長がノートパソコンの前に座り、オンライン会議の相手に笑顔で話しかけている横からの近景。画面の中は見えない角度。顔ははっきり写らない。文字は無い

沈黙が続いても、すぐに埋めない

質問の後に沈黙が続くと、上司はつい自分の話で埋めてしまいます。けれども部下は、その沈黙の間に言葉を探しています。質問したら、心の中で10数えるまで待つと決めておくと、沈黙を怖がらずに部下の言葉を待てます。

コミュニケーションが苦手な部下・取れない部下への接し方

午後、会社の屋上庭園のベンチで、40代の男性の課長と30代の男性の部下が少し間をあけて並んで座り、紙コップを手に前を向いたまま落ち着いて話している遠景。植栽と青空。顔ははっきり写らない。文字は無い

部下の中には、人と話すこと自体が苦手な人もいます。話しかけても会話が続かない、指摘すると反発する、周りから孤立している。コミュニケーションが取れない部下に悩む上司は、相手を変えようとして疲れてしまいがちです。

知恵袋の「極めて苦手な部下」の相談

「コミュニケーションが極めて苦手な部下への接し方について教えて下さい。入社6ヶ月の部下がいるのですが、私含め他社員から苦情が相次いでいます。」(2026年1月)
※出典:Yahoo!知恵袋「コミュニケーションが極めて苦手な部下への接し方」
午前、オフィスの自席で、40代の男性の課長がノートパソコンに向かって短いメッセージを打っている手元と肩の近景。画面の文字は見えない角度。顔は写らない

この相談には、「大事なこと以外はメールで良いんです」という回答がありました。別の回答者は、好き嫌いではなく業務で何が困っているかに目を向け、指導した記録を本人の言い分も含めて残すようにと答えています。

口で言うことと、書いて残すことを分ける

話すのが苦手な部下には、何でも口で伝えようとせず、口で言うことと書いて残すことを分けます。分け方の目安は次の3つです。書いて残しておけば、言った・言わないのすれ違いも防げます。

  • 口で言うねぎらい・お礼・その日の様子の確認
  • 書いて残す期限・手順・数字・決まったこと
  • 両方する注意や改善のお願い(話した後に要点を送る)
夕方、会社の屋外駐車場で、社用車の横に立つ40代の男性の課長が、車に乗り込む前の30代の女性の部下に、ファイルを渡しながら短く声をかけている遠景。夕方の光。顔ははっきり写らない。車のナンバーと看板の文字は見えない

注意が必要な時は、叱り方の手順で

仕事のやり方を直してもらう必要がある時は、日々の声かけとは分けて、時間を取って話します。人前ではなく2人だけの場で、事実と直してほしいことを1つずつ伝えます。手順と例文は部下の叱り方5つの手順と例文にまとめています。

苦手な部下ほど、注意する時だけ話しかけると、上司の声かけそのものを避けるようになります。1章の5つの一言は、苦手な部下にこそ毎日続けてください。注意の何倍も、ねぎらいの一言を先に積み上げておくことが大切です。

1on1で話すこと:
最初の5分・真ん中・最後の一言

午後、明るい小さな会議室で、40代の男性の課長と30代の女性の部下がテーブルの角をはさんで斜めに座り、1対1で落ち着いて話している近景。部下が話し、課長がうなずいている。顔ははっきり写らない。ノートの文字は読めない

1on1は、上司と部下が1対1で定期的に話す時間です。何を話せばいいか分からず、結局は仕事の進み具合の確認で終わってしまう上司も多くいます。1on1で話すことは、順番を決めておくと迷いません。

ギャラップの同じ報告では、上司と定期的に面談している社員は、そうでない社員に比べて、仕事に熱意を持っている割合がおよそ3倍でした。長さより、決まった間隔で続けることが大切です。

※出典:Gallup(2015)Harter & Adkins「Employees Want a Lot More From Their Managers」

午前、地方の支店の小さな事務所の応接ソファで、40代の男性の課長と50代の女性の部下が向かい合って座り、女性が話し課長がうなずいて聞いている近景。顔ははっきり写らない。文字は無い

1on1で話すことの順番

30分の1on1なら、次の4つの順番で進めます。上司が話す時間は全体の3割ほどにとどめ、残りは部下に話してもらうつもりで臨みます。順番を紙に書いて、最初に部下にも見せておくと話しやすくなります。

  1. 先週困ったことを1つ聞く(最初の5分)
  2. 今の仕事で手伝えることを聞く(真ん中の15分)
  3. これからやってみたいことを聞く(5分)
  4. 次の1on1までに上司がやることを1つ言う(最後の5分)
朝、オフィスビルの1階のカフェの窓際の席で、40代の男性の課長と20代後半の男性の部下がカップを前に向かい合い、穏やかに話している横からの遠景。顔ははっきり写らない。店の文字は見えない

最後の一言は、上司がやることを1つ

1on1の最後に、上司が次までにやることを1つ言います。「来週までに、B社の担当者に話を通しておく」のような一言です。部下が話したことが何か1つでも動くと、部下は次の1on1でも本音を話そうと思えます。

朝、開店前のパン屋の売り場のカウンターで、エプロン姿の40代の男性の店長が、エプロン姿の20代後半の女性のスタッフと今日の段取りを短く話している近景。顔ははっきり写らない。値札や看板の文字は見えない

「話すことがない」と言われた時

部下に「特に話すことはないです」と言われても、無理に話題を探さなくてかまいません。「じゃあ、この1週間で一番時間を使った仕事を教えて」と聞けば、話は自然に始まります。それでも短く終わる日は、10分で切り上げてもよいのです。

1on1で部下の話を聞く力をつけたい人は、傾聴力トレーニング5つで、相づちや言い返しの練習を紹介しています。1on1は聞く場なので、上司の聞き方が変わると、部下の話す量も変わります。

休日の朝、公園のベンチで、40代の男性がイヤホンをつけてスマートフォンで何かを聞きながら、ひざの上のノートに短くメモしている遠景。顔ははっきり写らない。画面とノートの文字は読めない

部下を育てるコミュニケーション:
指導の会話を短くする

午前、明るい倉庫の事務スペースで、作業着の40代の男性の係長が、作業着の20代後半の男性の部下に棚の前で段取りを1つだけ説明している。部下はうなずきながら聞いている遠景。顔ははっきり写らない。棚や掲示の文字は読めない

部下の育成のためのコミュニケーションは、たくさん教えることではありません。1回の指導で伝えることを1つに絞り、部下が自分で考える時間を残すことです。指導の会話が短いほど、部下は内容を覚えていられます。

教える時は1回に1つだけ

気になる所がいくつもあっても、1回の指導で伝えるのは1つにします。3つ言われた部下は、どれから直せばいいのか分からなくなります。残りは次の機会に回します。1つ直ったのを見届けてから次を伝えるほうが、結果として早く育ちます。

昼過ぎ、会社の受付カウンターの裏で、40代の女性の主任が20代後半の女性の部下に、来客の受け方を1つだけ短く伝えている遠景。顔ははっきり写らない。文字は見えない

答えを言う前に「どう思う?」と聞く

部下から相談されたら、答えを言う前に「どうしたらいいと思う?」と聞きます。部下が考えを言えたら、その考えを生かす形で助言を足します。急ぎの仕事や、間違えると大きく困る場面では、迷わず答えを伝えてかまいません。

会議の後の30秒の振り返り

部下が会議で発言した後や、お客様への説明を終えた後は、30秒だけ振り返りの声をかけます。「最初の説明、分かりやすかったよ」と良かった所を1つ伝え、直してほしい所があれば1つだけ足します。時間がたつと、部下も上司も中身を忘れてしまいます。

夕方、取引先のビルから出てきた歩道で、40代の男性の課長と30代の男性の部下が並んで歩きながら、課長が部下に短く声をかけている遠景。夕方の光。顔ははっきり写らない。看板の文字は見えない

部下とのコミュニケーションでやってはいけないこと・よくある誤解

夕方、オフィスの窓際で、40代の男性の課長が1人で立ち、手に持った小さなメモを見返しながら、肩の力を抜いて静かに息を吐いている横からの近景。窓の外に夕方の街。顔ははっきり写らない。メモの文字は読めない

部下との関係を良くしようとして、かえって距離を広げてしまうやり方があります。どれも上司が忙しい時や焦っている時に出やすいものです。よくある3つのやり方と、上司が持ちがちな誤解をまとめました。

やってはいけない3つのこと

1つ目は、人前で部下を問いただすことです。周りの目がある所で理由を聞かれると、部下は答えより先に恥ずかしさを感じます。2つ目は、話しかけられても手を止めないことです。3つ目は、「忙しい」を口ぐせにすることです。

午後、大きな会議室で会議が終わり、40代の男性の課長が立ち上がって、資料を片付けて席を立つ部下たちに軽く声をかけている遠景。顔ははっきり写らない。資料とスクリーンの文字は見えない

「忙しい」と口にする上司には、部下は相談を持ちかけにくくなります。本当に手が離せない時は、「今は無理」ではなく、「30分後なら聞ける」と時間を伝えます。断る時に時間を返すだけで、部下が次に話しかける気持ちは保てます。

誤解①:話し上手な上司でないと部下は話してくれない

部下が話しやすいのは、話が上手な上司ではなく、話を聞いてくれる上司です。言葉が少ない上司でも、毎日決まった一言をかけ、話しかけられたら手を止めていれば、部下は安心して話してくれます。話のうまさは、ほとんど関係ありません。

朝、オフィスの入り口近くで、40代の男性の課長が出勤してきた30代の女性の部下に、会釈しながら穏やかにあいさつしている遠景。顔ははっきり写らない。文字は無い

誤解②:雑談を増やせば関係が良くなる

雑談が得意でない上司が、無理に雑談を増やす必要はありません。部下にとって大切なのは、仕事の困りごとを聞いてもらえることです。雑談は、仕事の話の前後に一言添える程度で十分です。雑談そのものが苦手な人は雑談が苦手な人のビジネス雑談のコツも参考にしてください。

昼休み、オフィスビルの地下の休憩室の自動販売機の前で、40代の男性の課長と20代後半の男性の部下が缶コーヒーを手に立ち、短く話して笑っている近景。顔ははっきり写らない。自動販売機の文字は見えない

誤解③:部下の前で緊張するのは上司に向いていないから

部下に話しかける時に声が上ずる、会議で部下の視線が集まると頭が真っ白になる。自分だけがこんなに緊張すると思い、部下と話す場面を避けてきた上司は、自分は上司に向いていないと考えがちです。けれども、人前で緊張するのは、向き不向きではなく、誰にでも起きることです。

夜、出張先のビジネスホテルの部屋の机で、40代の男性会社員がスタンドの明かりの下、翌朝の会議で言う一言を小さなメモに書きながら口の中で確かめている横からの近景。顔ははっきり写らない。メモの文字は読めない

監修の吉松欣史も、入社当初は人前に立つと声が震え、頭が真っ白になっていたといいます。ルーキー時代の祇園祭の生中継では、丸暗記したコメントが本番で全部飛び、最後にしぼり出した一言の後に流せたお囃子は、わずか10秒でした。

元NHK
アナウンサー
ヨシ

最後にしぼり出したのが「お囃子の音色を、たっぷりお聞きください!」。実際に流せたのは、たったの10秒でした。

※出典:吉松欣史 講師プロフィール(私自身のあがり症体験)

そこから32年間、全国の放送局で生放送に立ち続け、退局後は法人向けの話し方・コミュニケーション研修も行っています。指導の柱の1つは、意識の矢印を「どう見られるか」から「何を届けるか」へ向け直すことです。

※出典:吉松欣史 講師プロフィール(経歴・指導の3つの柱)

朝、自宅の洗面所の鏡の前で、40代の男性がネクタイを締めながら、鏡に向かって小さく口を動かして一言を練習している横からの近景。顔ははっきり写らない。文字は無い

部下に話しかける時も、「上司らしく見えるか」ではなく「この一言を届ける」に意識を向けます。届ける中身が1つに決まっていると、自分の声や顔を気にする余裕が減り、言葉が出やすくなります。リーダーとしての考え方はリーダーシップとはで紹介しています。

管理職そのものがつらい時は

部下と話す場面を考えるだけで眠れない、出勤前に動悸がする日が続く時は、話し方より先に心と体を休めることが必要です。管理職を続けること自体に迷っている人は、管理職になりたくない・辞めたいと感じる人へも読んでみてください。

💡 部下と話すこと自体がつらい方へ
部下や職場の人と話すのが怖くて出勤がつらい、眠れない日や食欲のない日が2週間以上続く時は、話し方より先に、心療内科や精神科、職場の産業医に相談してください。厚生労働省の働く人のための相談窓口「こころの耳」では、電話やSNSで相談できます。

部下の前や会議で話す時に声が上ずる、頭が真っ白になる方へ。入社当初は自分も声が震えていた吉松欣史が、32年の生放送でたどり着いた話し方の考え方を伝える、無料のオンライン勉強会があります。

講師の吉松欣史は、NHKで32年間アナウンサーを務め、サッカーW杯とオリンピックの実況を担当した元NHKエグゼクティブアナウンサーです。勉強会は無料のオンライン形式で、60分・顔出し不要です。人前で話す時の緊張が悩みの中心の方に向けた内容です。

※出典:吉松欣史 講師プロフィール(経歴・主な実績)

※通院中・治療中の方は、この記事の方法より主治医の方針を優先してください。

\ 人前で話す時の緊張が中心の方へ /

▶ あがり症が改善した人が学んだ無料の勉強会を見る

部下とのコミュニケーションでよくある質問と答え

Q部下との飲み会は必要ですか?
必要ではありません。関係をつくるのは、飲み会より毎日の短い声かけです。飲み会を開くなら、参加しない部下にも同じように接することを忘れないでください。
QチャットやLINEでの声かけでもいいですか?
かまいません。朝の一言や「助かった」のお礼はチャットでも伝わります。ただ、注意や評価の話は、顔を見て話した後に要点を送る形にします。
Q年上の部下に敬語を使うべきですか?
丁寧語を基本にすれば十分です。指示ははっきり伝えつつ、「〇〇さんならどう進めますか」と経験を頼る聞き方を混ぜると、関係がぎこちなくなりにくくなります。
Q部下と何を話せばいいか分かりません。
1章の5つの一言から始めてください。話題を探すより、決まった時間に決まった一言を言うほうが続きます。1on1では6章の4つの順番を使います。
Q部下に嫌われている気がします。
嫌われていると決める前に、話しかけるのが注意の時だけになっていないかを振り返ります。お礼とねぎらいの一言を2週間続けると、部下の反応が変わることがあります。
Q新しく管理職になった最初の1週間は何をすれば?
部下一人ひとりと15分ずつ話し、今の仕事で困っていることを1つずつ聞きます。最初の1週間は助言より、聞いた内容をメモに残すことを優先してください。

部下とのコミュニケーションは、話のうまさより、1日の決まった時間に短い一言をかけ続けることで変わります。部下の前で声が上ずる、人前で話す時の緊張が中心の方は、吉松欣史の無料オンライン勉強会(60分・顔出し不要)で、緊張と付き合いながら話すための考え方を知ってください。

講師の吉松欣史は、NHKで32年間アナウンサーを務め、サッカーW杯とオリンピックの実況を担当した元NHKエグゼクティブアナウンサーです。勉強会は無料のオンライン形式で、60分・顔出し不要です。人前で話す時の緊張が悩みの中心の方に向けた内容です。

※出典:吉松欣史 講師プロフィール(経歴・主な実績)

※通院中・治療中の方は、この記事の方法より主治医の方針を優先してください。

元NHKアナウンサー吉松欣史が漫画で解説あがり症の正体、無料の漫画で読めます発声の問題?あがり症?選ぶ前に違いを知る悩みの見分け方を無料で読めますLINEで無料漫画を読む

Let's share this post !

Author of this article

Comments

To comment

TOC