コミュニケーションが苦手な人の克服法5つ|人と話すのが苦手で自分だけ上司に言えない人も話せる

打ち合わせテーブルで上司と同僚に穏やかに話しかける男性会社員
この記事の監修
吉松欣史

元NHKエグゼクティブ
アナウンサー
吉松 欣史
経歴NHKで32年間。W杯・五輪の生放送実況
専門脳科学・心理学を使ったあがり症の克服

職場の人は優しいのに、返せるのは一言二言だけ。上司に聞きたいことがあっても、どう思われるかが怖くて話しかけられない。コミュニケーションが苦手だと、仕事の中身より、人と話す場面のほうがずっと重く感じられます。

人と話すのが苦手な人は、すべての場面で苦手なわけではありません。苦手な場面を1つ選び、そこで言う最初の一言を決めておけば、言葉は少しずつ出るようになります。吉松欣史の監修で、その手順を紹介します。

TOC

コミュニケーションが苦手な人の克服法5つ:
苦手な場面を1つ選んで「最初の一言」から変える

朝、自宅のダイニングテーブルで、出勤前の30代の男性会社員がマグカップの横に小さなノートを広げ、ペンで書き出しをしている手元と肩の近景。窓から朝の光。顔ははっきり写らない。ノートの文字は読めない

コミュニケーションが苦手だと感じる人の多くは、「人と話すこと全部」をまとめて直そうとして疲れてしまいます。けれども、苦手な相手や場面は人によって違います。まずは苦手を小さく分けて、一番軽い所から手をつけるのが近道です。

苦手を克服する5つの手順

5つの手順は、上から順に1つずつ進めます。1週間に1つの場面だけを選び、その場面でできたら次の場面へ移ります。一度に全部をやろうとせず、できた場面を1つずつ増やしていくことを目標にしてください。

  • ①書き出す苦手な相手と場面を、紙に5つ書く
  • ②1つ選ぶ一番軽い場面を1つだけ選ぶ
  • ③一言を決めるその場面の最初の一言を声に出しておく
  • ④質問を用意相手に聞く質問を1つ持っておく
  • ⑤1行書くできたことを帰りに1行だけ書く
昼休み、会社の近くの公園のベンチで、30代の女性会社員がひざの上の手帳に短く書き込んでいる横からの遠景。木漏れ日。顔ははっきり写らない。手帳の文字は読めない

相手と場面をセットで書き出す

書き出す時は、「上司に報告する時」「休憩室で同僚が話している時」のように、相手と場面をセットにします。その時に自分に何が起きるかも横に書きます。言葉が出ない、話しかける時を逃すなど、起きることが分かれば打つ手も決まります。

書き出した場面には、苦しさを1から5で点をつけます。点の低い場面が、最初に取り組む場面です。いきなり点の高い会議の発言から始めると失敗しやすく、苦手意識がかえって強くなってしまいます。

朝、通勤電車の座席で、30代の男性会社員がひざの上の小さなメモ帳を見返している手元と肩の近景。窓の外を住宅街が流れる。顔ははっきり写らない。メモ帳と車内の文字は読めない

知恵袋の社会人3年目の相談で考える

「私自身言葉がなかなか出なくて思ってることがいつも言えなかったり会話しても何も話題が浮かばなかったりすることの繰り返しです。」(社会人3年目・保育園勤務・2022年3月)
※出典:Yahoo!知恵袋「社会人3年目です。職場でコミュニケーションが取れず孤立しています」
昼、職場の休憩室の窓際の椅子で、30代の女性がスマートフォンを両手で持ち、少し考えながら窓の外を見ている手元と肩の近景。画面は見えない角度。顔ははっきり写らない。文字は無い

この方の相談には、「聞いた方がいいかな」と思うことを、相手にどう思われるかが怖くて聞けないとも書かれていました。この場合なら、最初の場面は「朝、同じ組の先輩に今日の段取りを1つ聞く」が向いています。ここからは書き手が作った例です。

最初の一言の見本(書き手の例)

「おはようございます。今日の午前の段取り、1つだけ確認させてください」

(答えを聞いたら)「ありがとうございます、助かります」

朝、オフィスの入り口近くのロッカーの前で、30代の女性会社員が同じ職場の40代の女性の先輩に軽く会釈をして、短く声をかけている遠景。顔ははっきり写らない。文字は無い

決めた一言は、出勤前に一度だけ声に出しておきます。頭の中で考えるだけより、口が一度その形を通っているほうが、本番で出だしの言葉が出やすくなります。言えたら、帰りに「朝、段取りを聞けた」と1行書けば十分です。

自分の苦手はどのタイプか

書き出してみると、苦手の形はおおよそ4つに分かれます。自分の形が分かると、どの章から読めばよいかも決まります。下の表で、当てはまる行を探してみてください。

苦手の形 起きること 読む所
話しかけられない 声をかける時を逃す 4章・5章
話が続かない 一言二言で止まる 5章
上司の前で言えない 怖くて言葉が出ない 4章
大人数で入れない 輪の外で聞くだけ 5章

会話が続かないことが一番の悩みなら人と会話が続かない理由と改善法、初対面で固まってしまう人は大人の人見知りの治し方も合わせて読むと、自分に合う練習が見つかりやすくなります。

コミュニケーションが苦手な人・下手な人の特徴7つ:
職場で出やすいサイン

午前、オフィスの島型の席で、30代の男性会社員が自分のパソコンに向かったまま、隣の席の同僚たちが話しているほうを少しだけ見ている横からの近景。パソコンの画面は見えない角度。顔ははっきり写らない。文字は無い

コミュニケーションが苦手な人には、職場で出やすいサインがあります。ここに挙げる7つのうち、当てはまる数が多いほど、自分では気づかないうちに話す機会を減らしているかもしれません。責めるためではなく、直す場所を見つけるために読んでください。

話しかけるまでに時間がかかる

1つ目は、話しかけるまでに時間がかかることです。相手が忙しそうか、今声をかけてよいかを考えているうちに、相手が席を立ってしまいます。2つ目は、返事が「はい」「そうですね」の一言で終わり、会話がそこで止まってしまうことです。

午前、会議が始まる前の会議室で、30代の女性会社員が席で資料をそろえながら、窓際で立ち話をしている同僚2人のほうを見ている近景。顔ははっきり写らない。資料の文字は読めない

3つ目は、考えてからでないと話せず、会議の発言が遅れることです。言いたいことはあるのに、まとまった時には話題が次へ移っています。4つ目は、相手の顔色が気になり、聞きたいことを聞かずに自分で推測して進めてしまうことです。

午後、オフィスの書類棚の前で、30代の女性会社員がファイルを手に持ったまま、少し離れた席にいる上司のほうを見て、声をかけるか迷っている後ろ姿の近景。顔は写らない。ファイルの文字は読めない

輪の外で聞き役になり、自分の話をしない

5つ目は、休憩や飲み会で話の輪の外にいて、聞くだけで終わることです。6つ目は、自分の話をほとんどしないため、周りから「何を考えているか分からない」と思われてしまうことです。悪気はないのに、距離ができてしまいます。

7つ目は、苦手な人を避けているうちに、その人と話す回数がさらに減ることです。話す回数が減るほど、次に話す時のハードルは上がっていきます。苦手な人の多くは、この7つのうちいくつかが重なって、悩みが大きくなっています。

夜、ホテルの宴会場の立食の懇親会で、40代の男性会社員がグラスを手に、テーブルの端で同僚たちの話の輪を少し離れて見ている遠景。顔ははっきり写らない。看板や案内の文字は見えない

「下手」と言われる人と「苦手」と感じる人の違い

周りから「コミュニケーションが下手」と言われる人は、自分の話ばかりする、相手の話をさえぎるなど、話す量の多さが原因のこともあります。この記事で扱うのは、話す量が少なく、人と話すこと自体が苦手だと感じている人です。

話す力そのものを伸ばしたい人には、コミュニケーション能力を鍛える5つの順番が合っています。言葉が出てこない口下手を直したい人は、口下手を直したい人への改善法も参考にしてください。

コミュニケーションができない・苦手になる原因:
性格より「否定が怖い」「言葉にする時間」「緊張」

夕方、会社の帰りの電車で、ドアの近くに立った40代の男性会社員が窓の外の夕焼けの街を見ている横からの近景。車内の人はぼやけている。顔ははっきり写らない。車内の文字は見えない

コミュニケーションができないのは、暗い性格だからでも、能力が低いからでもありません。多くの場合、次の3つのどれかが、言葉が出るのを止めています。自分にどれが当てはまるかが分かると、直し方も選びやすくなります。

否定される・嫌われるのが怖い

1つ目は、否定されたり嫌われたりするのが怖いことです。話しかけて迷惑がられたらどうしよう、変なことを言ったらどうしようと考えると、黙っているほうが安全に思えます。けれども、その怖さは実際より大きく見積もられていることが多いのです。

昼、会社の近くの定食屋のカウンター席で、30代の男性会社員が隣に座る同じ職場の40代の男性に、顔を向けて話しかけようとしている肩から上の近景。顔ははっきり写らない。メニューや店の文字は見えない

シカゴ大学のエプリーらは、電車やバスで通勤する人に、隣の知らない人へ話しかけてもらう実験をしました。話しかける前、参加者は相手の半分以上に断られると予想していましたが、話しかけた人の中で断られた人はいませんでした。

※出典:Epley & Schroeder(2014)Mistakenly Seeking Solitude, Journal of Experimental Psychology: General(英国心理学会の紹介記事)

この実験では、人と話した人のほうが、黙って過ごした人より通勤を楽しく感じていました。内向的な人でも外向的な人でも同じでした。話しかけたら嫌がられるという予想は、外れることが多いと知っておくだけで、最初の一言を言うハードルは下がります。

朝、駅前のバス停で、40代の女性会社員が隣に並ぶ同年代の女性に、空を指して天気のことを軽く話しかけている遠景。顔ははっきり写らない。時刻表や看板の文字は見えない

頭の中で言葉にする時間が足りない

2つ目は、頭の中で言葉にする時間が足りないことです。考えてから話す人は、会話の速さについていけず、言葉がまとまった頃には話題が変わっています。これは苦手というより、話すまでの準備の仕方が会話の速さに合っていない状態です。

この形の人は、その場で上手に話そうとしなくてかまいません。よく出る場面の最初の一言だけを先に決めておけば、考える時間を後ろに回せます。意見を言う場面で止まってしまう人は、自分の意見が言えない原因と直し方も役に立ちます。

夜、自宅のリビングのソファで、40代の男性がノートを手に、明日言う一言を小さく声に出して練習している横からの近景。顔ははっきり写らない。ノートの文字は読めない

緊張で声が震える・頭が真っ白になる

3つ目は、緊張です。相手が上司や大勢になると、声が震えたり、頭が真っ白になったりします。この場合は話し方を覚えるより、緊張をほどくほうが先です。詳しくは7章で、元NHKアナウンサーの経験とあわせて紹介します。

上司とのコミュニケーションが苦手な時:
話しかけ方・報告・相談の最初の一言

午前、オフィスの窓際の上司の席の横で、30代の男性会社員が印刷した資料を1枚持って立ち、椅子に座った50代の女性の上司に落ち着いて話しかけている横からの近景。顔ははっきり写らない。資料とモニターの文字は見えない角度

上司とのコミュニケーションが苦手な人は、話す中身より、話しかける瞬間でつまずいていることがよくあります。忙しそうな上司に声をかけるのは、誰にとっても勇気がいるものです。最初の一言を決めておけば、その瞬間を越えやすくなります。

午前、工場の明るい事務所で、作業着の30代の女性社員が、50代の男性の工場長にクリップボードを見せながら立ったまま話しかけている近景。顔ははっきり写らない。紙の文字は読めない

忙しそうな上司に話しかける最初の一言

上司に話しかける時は、何分かかるかと、何の話かを最初に伝えます。上司は聞く前に、今聞くか後にするかを決められるので、迷惑をかけているという気持ちが小さくなります。ここからは書き手が作った見本です。

話しかける時の見本(書き手の例)

「今、2分よろしいですか。A社の見積もりの件で、1つ確認したいことがあります」

(忙しいと言われたら)「では、何時ごろならよろしいですか」

昼前、オフィスのエレベーターホールで、30代の女性会社員が書類フォルダを胸に持ち、エレベーターを待つ50代の男性の上司に軽く会釈して話しかけている遠景。顔ははっきり写らない。表示板の文字は見えない

断られても、それは自分が嫌われたからではなく、上司の今の都合です。時間を聞き直せば十分です。「何分・何の話」を先に言うだけで、話しかける怖さは小さくなります。

報告は結論を1文目に言う

報告で言葉に詰まる人は、経緯から順に話そうとして、途中で何を言いたいのか分からなくなります。報告は「終わりました」「遅れそうです」のように、結論を1文目に言います。理由や経緯は、上司に聞かれてから足しても間に合います。

報告の順番やメールの例文は、上司への報告の仕方で5つの順番に分けて紹介しています。報告が怖い人ほど、型を1つ持っておくと、頭が真っ白になりにくくなります。

午後、ホテルの裏の事務所で、制服の30代の男性スタッフが、40代の女性マネージャーに立ったまま短く報告している遠景。顔ははっきり写らない。掲示物の文字は見えない

話しかけにくい上司との話し方

「職場に話しかけにくい上司がいます。仕事上、話さなければならないのですが話しかけるたびに「…はい?」やわざと沈黙を作ってから返答してきたり」(入社2年目・2023年6月)
※出典:Yahoo!知恵袋「職場に話しかけにくい上司がいます」

このように返されると、嫌われているのではと考えてしまいます。それでも仕事の話は必要です。苦手な上司には、用件を1文にまとめて紙かチャットに書いてから話しかけると、相手の反応に言葉を引っ張られにくくなります。

午後、オフィスの自席で、30代の男性会社員がノートパソコンの横の付箋に、短い用件を1行書いている手元の近景。顔は写らない。付箋と画面の文字は読めない

相手の機嫌に左右されるのがつらい人は、機嫌が悪い人への対処法も読んでみてください。苦手な人とのコミュニケーションでは、相手を変えようとせず、自分が言う中身を短く決めておくことが一番の守りになります。

朝、会社の駐輪場で、自転車を止めた30代の男性社員が、隣に自転車を止めた50代の男性の上司とヘルメットを外しながら軽く話している遠景。顔ははっきり写らない。看板の文字は見えない

上司との会話がない・雑談ができない時

仕事の話はできても、雑談ができずに上司との会話がないと悩む人もいます。上司との雑談は、長く話す必要はありません。朝のあいさつに「昨日の会議、資料が分かりやすかったです」のような一言を足すだけで、距離は少しずつ縮まります。

雑談のネタや始め方を知りたい人は、雑談力の鍛え方に、職場や取引先でそのまま使える雑談の例をまとめています。雑談は上手さより回数が大切なので、まずは短い一言を毎日続けてみてください。

人と話すのが苦手でも職場で困らない会話の仕方:
会話が苦手・難しい場面別

昼、社内の休憩スペースの丸テーブルで、30代の女性会社員と40代の男性の同僚が紙コップを手に向かい合い、女性がうなずきながら相手の話を聞いている近景。顔ははっきり写らない。文字は無い

人と会話するのが苦手な人は、何を話せばよいかが分からず、会話の仕方そのものに迷っています。職場の会話は、面白い話をする場ではありません。相手の話を受けて、短く返す型を1つ持っていれば、多くの場面は乗り切れます。

会話の仕方がわからない時は「質問1つと感想1つ」で返す

相手が話したら、まず感想を一言返し、次に質問を1つします。「それは大変でしたね。その後どうなったんですか」のような形です。自分から話題を出さなくても、感想と質問を1つずつ返せば、会話は相手の話で続いていきます。

夕方、デザイン事務所の大きな作業台で、30代の女性と40代の男性が布のサンプルを手に取り、女性が男性に質問しながら話している近景。顔ははっきり写らない。文字は無い

相手の話を聞きながら相づちを打つのが苦手な人は、聞き上手になるための7つのコツで相づちのさしすせそを紹介しています。聞く側に回れる人は、話すのが苦手でも職場で信頼されやすくなります。

午後、取引先の会社の受付前のソファで、40代の男性の営業担当が、隣に座った30代の後輩の話にうなずいている横からの遠景。顔ははっきり写らない。受付の文字は見えない

初対面の人と話すのが苦手な時

初対面の人と話すのが苦手な人は、会って最初の数秒で固まってしまいます。その場合は、あいさつと名前に一言を足す形を決めておくと楽になります。「〇〇部の△△です。今日はよろしくお願いします」で十分です。

初対面で頭が真っ白になる、知らない人の前で毎回固まるという人は、人見知りの形かもしれません。大人の人見知りの治し方で、会って最初の30秒の過ごし方を5つの手順にしています。

朝、建設会社の現場事務所で、作業着の4人が立って短い打ち合わせをしていて、端の30代の男性が話す人のほうを見てうなずいている遠景。顔ははっきり写らない。図面や掲示の文字は読めない

大人数・3人以上の会話が苦手な時

2人なら話せるのに、3人以上の会話になると入れないという人は少なくありません。大人数の会話では、話が速く移るため、言葉にする時間が足りなくなるからです。無理に話題を出さず、話している人の顔を見てうなずくだけでも輪の中にいられます。

話に入りたい時は、自分の意見ではなく、誰かの話への短い質問から入ります。「それ、どこのお店ですか」のような一言なら、話題を変えずに輪に加われます。座る時は、話の中心にいる人の斜め前を選ぶと、目が合いやすくなります。

夜、居酒屋の座敷の長いテーブルで、会社の同僚5人が食事をしている中、端の席の30代の男性会社員が中心で話す同僚のほうを向いて笑顔でうなずいている遠景。顔ははっきり写らない。メニューや店の文字は見えない

仕事を変える前に話す場面を選ぶ

コミュニケーションが苦手だと、人と話さない仕事に移ることも考えると思います。働く場所を選び直すのも1つの方法で、話す量で仕事を選ぶ考え方は人見知りに向いてる仕事・バイト11選で紹介しています。

ただ、どの仕事にも、報告や相談のように人と話す場面は残ります。仕事を変える前に、今の職場で話す場面を1つずつ選び直してみると、苦手の正体が見えてきます。苦手が分かってから仕事を選んでも遅くはありません。

コミュニケーションが苦手な人が仕事でやりがちなNG3つ:
完璧な文・謝りすぎ・避け続ける

雨の日の昼、オフィスビルの1階のカフェで、30代の女性会社員が窓際の席に座り、窓を伝う雨粒を見ながらカップを両手で持っている横からの近景。顔ははっきり写らない。文字は無い

苦手を直そうとして、かえって話しにくくなるやり方があります。どれも相手に気をつかった結果なので、自分では気づきにくいのが落とし穴です。よくある3つのやり方と、代わりにすることを表にまとめました。

やめること 代わりにすること
完璧な文を待つ 最初の一言で話し始める
謝りを重ねる 謝るのは1回だけ
苦手な人を避ける あいさつは毎日する

話す前に完璧な文を作ろうとして黙る

頭の中で完璧な文を作ってから話そうとすると、作り終わる前に話す時を逃します。完璧に準備するほど、本番で一言目が出ないこともあります。監修の吉松欣史も、ルーキー時代に生中継のコメントを一字一句覚えて臨み、全部飛んだといいます。

元NHK
アナウンサー
ヨシ

コメントを一字一句、丸暗記して本番に臨んだのに、始まった瞬間、全部、飛びました。

※出典:吉松欣史 講師プロフィール(私自身のあがり症体験)

覚えるのは、最初の一言と、伝えたいことを1つだけにします。あとは相手の反応を見ながら言葉を足せば十分です。言い間違えても、言い直せば会話は続きます。完璧な文より、短くても最後まで言えた一言のほうが相手には伝わります。

「すみません」を重ねて用件を言わない

「すみません、お忙しいところすみません」と謝りを重ねると、聞く側は何を頼まれるのか分からず身構えてしまいます。謝るのは最初の1回で十分です。その後すぐに用件を言うほうが、相手の時間を大切にすることにもなります。

夕方、オフィスの給湯室で、30代の男性会社員が電気ケトルのお湯を紙コップに注ぎながら、ひと息ついている肩から下の近景。顔は写らない。文字は無い

苦手な人をずっと避けて、話す回数がさらに減る

苦手な人を避けると、その場は楽になります。けれども話す回数が減るほど、次に話す時のハードルは高くなります。避けたくなる相手ほど、あいさつだけは毎日続けてください。あいさつは、苦手な相手と話す回数を保つ一番軽い方法です。

苦手の正体が緊張の人へ:
声が震える・頭が真っ白になる時は緊張をほどくのが先

朝、オフィスビルの屋上の庭で、40代の女性会社員が手すりの近くに立ち、肩の力を抜いて空を見上げながらゆっくり息を吐いている横からの遠景。顔ははっきり写らない。文字は無い

言う中身は決まっているのに、上司や大勢の前に立つと声が震える。頭が真っ白になり、用意した言葉が出てこない。この形の苦手は、話し方の問題ではなく、人前で話す時の緊張です。話し方を覚えるより、緊張をほどくほうが先です。

監修の吉松欣史も、入社当初は人前に立つと声が震え、頭が真っ白になっていたといいます。そこから32年間、全国の放送局で生放送に立ち続け、何百人もの一流アスリートに、プレッシャーとどう向き合っているかを直接たずねてきました。

※出典:吉松欣史 講師プロフィール(経歴・私自身のあがり症体験)

夜、自宅の書斎で、オンライン会議を終えた40代の女性会社員がノートパソコンを閉じ、椅子にもたれて穏やかに息をついている横からの近景。机に観葉植物。顔ははっきり写らない。画面と紙の文字は見えない

「どう見られるか」より「何を届けるか」

吉松欣史の指導には、意識の矢印を「どう見られるか」から「何を届けるか」へ向け直すという柱があります。人と話すのが苦手な人は、話している間ずっと、自分がどう見られているかを気にしています。これが緊張を強めます。

※出典:吉松欣史 講師プロフィール(指導の3つの柱)

上司に報告する時なら、「変に思われないか」ではなく「この結論を伝える」に意識を向けます。届ける中身に意識を向けると、自分の様子を気にする余裕が減り、言葉が出やすくなります。人前で話す時の緊張が強い人は、人前で緊張しない方法10選も読んでみてください。

コミュニケーションが苦手な人のよくある誤解・注意点

晴れた日の昼休み、オフィス街の公園の芝生の広場で、40代の男性会社員と30代の後輩の男性がサンドイッチを手に並んで座り、穏やかに話している横からの遠景。顔ははっきり写らない。文字は無い

誤解①:コミュニケーションが苦手なのは性格だから直らない

苦手なのは生まれつきの性格だから、と諦めている人は多くいます。けれども、ここまで見てきたように、苦手の正体は怖さ・準備の時間・緊張のどれかです。どれも性格ではないので、場面を選んで練習すれば克服できます。

午後、明るい市民センターの小さな会議室で、30代から40代の大人3人が丸く座り、1人が話す練習をしているのを2人が穏やかに聞いている近景。顔ははっきり写らない。ホワイトボードや紙の文字は見えない

誤解②:話し上手にならないと仕事で困る

仕事で求められるのは、面白い話ができることではありません。用件が伝わり、相手の話を受け止められれば、仕事は十分に回ります。話すのが苦手な人は、無理に話し上手を目指さず、聞く側に回って質問で返す形を磨くほうが近道です。

休日の朝、河川敷のランニングコースの脇で、30代の男性がストレッチをしながら深く息を吸っている遠景。顔ははっきり写らない。文字は無い

誤解③:苦手なら人と話さない仕事に変えるしかない

知恵袋の社会人3年目の方も、転職や環境を変えることを何度も考えたと書いていました。そして、「人と話せなかったらどこに行っても同じことになるんだろうなと思います」と続けています。仕事を変えても、話す場面は残るからです。

だからこそ、今の職場で一番軽い場面から1つずつ慣らしていくことに意味があります。1章の5つの手順は、どの職場でも使えます。苦手な場面が減れば、仕事を選ぶ時も、話す量より自分のやりたいことで選べるようになります。

朝、オフィスの入り口で、30代の女性会社員が同僚たちに笑顔で軽く手を上げてあいさつしながら入ってくる遠景。顔ははっきり写らない。文字は無い

病気かもしれないと心配な時は

人と話すことへの強い怖さが長く続き、仕事や生活に支障が出ている時は、社交不安症などの心の不調が関係していることもあります。その場合は、話し方の練習より先に、心療内科や精神科で相談してください。詳しくは対人恐怖症の治し方で紹介しています。

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職場で人と話すのが怖くて出勤がつらい、眠れない日や食欲のない日が2週間以上続く時は、話し方より先に、心療内科や精神科、職場の産業医に相談してください。厚生労働省の働く人のための相談窓口「こころの耳」では、電話やSNSで相談できます。

言いたいことはあるのに、上司や大勢の前に立つと声が震えて言葉が出ない方へ。入社当初は自分も声が震えていた吉松欣史が、32年の生放送でたどり着いた話し方の考え方を伝える、無料のオンライン勉強会があります。

講師の吉松欣史は、NHKで32年間アナウンサーを務め、サッカーW杯とオリンピックの実況を担当した元NHKエグゼクティブアナウンサーです。勉強会は無料のオンライン形式で、60分・顔出し不要です。人前で話す時の緊張が悩みの中心の方に向けた内容です。

※出典:吉松欣史 講師プロフィール(経歴・主な実績)

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コミュニケーションが苦手な人によくある質問と答え

Q「コミュ障」と言われてしまったら?
言われた言葉より、どの場面で困ったかに目を向けます。1章の手順で苦手な場面を書き出すと、直す所が1つずつ見えてきます。性格を変える必要はありません。
Qコミュニケーションが苦手でも営業や接客はできますか?
できます。営業や接客は、決まった流れと言葉が多い仕事です。最初の一言と、よく聞かれる質問への答えを先に用意しておけば、話すのが苦手な人でも落ち着いて対応できます。
Q会話が続かない時はどうすればいいですか?
感想を一言返し、質問を1つする形で返します。会話が続かない理由と直し方は人と会話が続かない理由と改善法で詳しく紹介しています。
Q人と話すのが苦手なのは病気ですか?
多くの場合は病気ではありません。ただ、怖さが強く、出勤がつらい日が続く時は、心療内科や精神科で相談してください。対人恐怖症の治し方に受診の目安があります。
Q部下とのコミュニケーションが苦手な上司はどうすれば?
部下に話しかける時も、何分・何の話かを先に言う形が使えます。注意や叱る場面で困っている方は、部下の叱り方5つの手順と例文を参考にしてください。
Q話し方教室に通うと変わりますか?
人前で話す時の緊張が中心の方は、練習の場を持つことで変わりやすくなります。まずは、この記事の5つの手順を1週間試してから考えても遅くありません。

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