アナウンサー
専門脳科学・心理学を使ったあがり症の克服
「仲間内のおしゃべりなら普通に話せるのに、会議や人前に立つと急に言葉が出てこない」。話し上手になりたいと思いながら、何から直せばいいのか分からずにいませんか。
話し上手は生まれつきの才能ではなく、話す順番と聞き方を変える練習で誰でも近づけます。この記事では、元NHKエグゼクティブアナウンサー・吉松欣史の監修のもと、今日から始められる7つの練習と、毎日10分のトレーニングを解説します。
- 話し上手になるコツと、今日から始める7つの練習
- 聞き方を変えると話がうまくなる理由と質問の型
- 毎日10分の1分間スピーチと、雑談・会議・人前での話し方
話し上手になるには?今日から始める7つの方法とコツ

話し上手な人は、特別な話術を持っているわけではありません。話す順番、言葉の長さ、相手への向き合い方といった小さな習慣の積み重ねで、「この人の話は分かりやすい」と感じてもらっています。
- ①結論を先に最初の一文で言いたいことを言う
- ②一文を短く「〜で、〜で」とつなげず句点で切る
- ③例える相手の知っているものに置き換える
- ④一拍の間話し始める前と大事な所で間を置く
- ⑤口を開けてゆっくり早口と語尾の小ささを防ぐ
- ⑥受け止めてから話す相手の言葉を一度くり返す
- ⑦質問で広げる相手の話の続きを聞く
7つを一度に全部やる必要はありません。1日1つ、明日の会話で試せそうなものから始めてください。どれも特別な準備はいらず、いつもの会話の中で練習できます。
①結論を最初の一文で言う
働く人500人に聞いた調査では、職場で気になる話し方の1位が「結論が最後まで出てこない、話が長い」(42%)でした。話がうまいと思われる一番の近道は、言いたいことを最初の一文で言い切ることです。
× 前置き「先週から先方とやり取りしていて、いろいろあったんですが、結局…」
○ 結論から「納期は1週間延びます。理由は2つあります」
元NHK
アナウンサー
ヨシ
ニュース原稿は、最初の一文で結論を伝えることが徹底されています。会議で結論が最後まで出てこないのは、実はニュースの作り方の逆をやってしまっている状態なんです。
※出典:TID「職場での話し方に関する意識調査2026」監修者コメント
②一文を短く切る
「〜なんですが、〜で、〜なので」と文をつなげ続けると、聞き手は途中で話の筋を見失います。話すときの一文は、句点で切れる長さに収めるのが基本です。目安は、ひと息で言い切れる長さです。
一文が短くなると、自分でも次に何を言うかを整理しながら話せるので、「えー」「あの」といった口癖も自然に減っていきます。まずはメールやチャットの文を短く書く練習から始めても効果があります。

③相手の知っているものに例える
難しい話を分かりやすく伝える人は、相手がすでに知っているものに置き換えて話しています。「このシステムは、図書館の貸し出しカードのようなものです」と言われると、仕組みを知らない人でも全体の形をつかめます。
例えは、相手の仕事や趣味に近いものほどよく伝わります。普段から「これを知らない人に一言で説明するなら」と考えておくと、話す場面で使える例えが少しずつたまっていきます。

④話す前に一拍の間を置く
話し上手な人ほど、話し始める前や大事なことを言う前に、一拍の間を置いています。間があると、聞き手は「次に何か大事な話が来る」と自然に耳を傾けてくれます。沈黙を怖がって言葉を詰め込む必要はありません。
間を置くと、話す側も頭の中を整える時間ができます。会議で指名されたら、すぐに話し出さずに一度息を吐いてから「はい、私の考えは」と始めるだけで、落ち着いて話している印象になります。

⑤口を大きく開けてゆっくり話す
同じ調査では、気になる話し方の2位が「早口で聞き取れない」(31%)、3位が「語尾が小さく自信なさそうに聞こえる」(24%)でした。どちらも、口の開きが小さく話す速さが上がっていることが原因の1つです。
口を縦に大きく開け、語尾の「です」「ます」まで同じ大きさの声で言い切ると、聞き取りやすさは大きく変わります。朝、「ア・エ・イ・オ・ウ」を口の形を意識して数回くり返すだけでも、口が動きやすくなります。

⑥相手の話を一度受け止めてから話す
相手が話し終わるとすぐに自分の意見を言い始めると、聞き手は「話を聞いてもらえていない」と感じます。話し上手な人は、まず「〇〇ということですね」と相手の言葉を一度くり返してから、自分の話に入っています。
受け止める一言が入るだけで、反対の意見を伝えるときも角が立ちにくくなります。くり返す時は相手が使った言葉をそのまま使うと、「ちゃんと聞いてくれている」という安心感がより強く伝わります。

⑦質問で相手の話を広げる
話し上手と言われる人は、自分が話す時間より、相手に話してもらう時間を上手に作っています。相手の話から言葉を1つ拾って「それで、どうなったんですか?」と続きを聞くと、会話は自然に広がっていきます。
※出典:Huang, Yeomans, Brooks, Minson & Gino (2017) It Doesn’t Hurt to Ask: Question-Asking Increases Liking(Journal of Personality and Social Psychology)
話題を広げる返し方の例は、会話の広げ方の記事で詳しく紹介しています。質問は話の主役を相手に渡す道具だと考えると、自分がうまく話さなければという重さも軽くなります。
話し上手になるには聞き方から:受け止めてから話すと話がうまくなる理由

聞き上手が話し上手になる理由
「話し上手は聞き上手」と言われるのは、よく聞く人ほど相手が何を知りたいのかをつかんでいるからです。相手の関心が分かっていれば、話す内容を絞れるので、短くても伝わる話ができます。
聞くことは、話す前の下ごしらえでもあります。相手の言葉や表情から「どこまで知っているか」「何に困っているか」を受け取っておくと、自分が話す番が来た時に、相手に合わせた言葉を選べます。
相づちの打ち方や「話し上手は聞き上手」と言われる理由など、聞き方そのものは聞き上手になるための記事で詳しく紹介しています。この記事では、聞いたことを自分の話につなげる所に絞って解説します。

相手が話しやすくなる3つの反応
聞き上手な人は、目線・うなずき・メモの3つで「あなたの話を聞いています」と伝えています。話し手の顔をやわらかく見ること、話の区切りでうなずくこと、大事な所で手を動かしてメモを取ることです。

反応が返ってくると、話し手は安心して本音を話してくれます。逆に無表情で聞いていると、相手は「伝わっていないのかな」と不安になり、話を早く切り上げてしまいます。聞き方を変えるだけで、会話の中身が深くなります。
話を深める質問の3つの型
質問には、確認・選択・具体化の3つの型があります。確認は「〇〇ということですね」と理解が合っているかを確かめる質問、選択は「AとBのどちらですか」と答えやすく絞る質問、具体化は「例えばどんな時ですか」と中身を引き出す質問です。

迷ったら、相手の話を一度確認してから、具体化の質問を1つ重ねてみてください。「つまり納期が心配なんですね。特にどの工程が気になっていますか」と聞くと、相手は自分の考えを整理しながら話せます。
話し上手な人の特徴と、話し下手に見える人との違い

話し上手な人に共通する4つの特徴
話し上手な人には、共通する特徴が4つあります。結論から短く話すこと、相手を主役にして聞く時間を作ること、相手の知っている言葉で例えること、そして落ち着いた速さで最後まで言い切ることの4つです。
どれも話術というより、相手を思いやる習慣です。口数が多い人や冗談がうまい人が話し上手とは限りません。言葉が少なくても、相手が「分かりやすかった」「話しやすかった」と感じれば、その人は話し上手です。

話し下手に見えてしまう3つの原因
話し下手に見えてしまう原因は、主に3つです。1つ目は一度に伝える情報が多すぎること、2つ目は聞き手の様子を見ずに話し続けること、3つ目は緊張で早口になったり語尾が小さくなったりしてしまうことです。
※出典:TID「職場での話し方に関する意識調査2026」(全国の20〜60代の働く男女500名・複数回答)
注目したいのは、早口・語尾の小ささ・口癖が、緊張した時に誰にでも出やすい反応だという点です。話す技術が足りないのではなく、緊張が話し方を崩しているだけということも少なくありません。
元NHK
アナウンサー
ヨシ
話し方の癖は、その人の実力ではなく反応です。まず自分の癖に気づくことから、伝わり方は変わっていきますよ。
※出典:TID「職場での話し方に関する意識調査2026」監修者コメント
話し上手になるトレーニング:毎日10分の1分間スピーチ

テーマを決めて300字の原稿を書く
1分間で話せる量は、およそ300字です。テーマは「今日うれしかったこと」のような身近なもので十分です。思いつく言葉を書き出し、一番伝えたいことを1つ選んで、結論・理由・具体例の順にまとめます。
原稿を書くと、自分が何を言いたいのかがはっきりします。慣れないうちは書く手間を惜しまないことが、上達の近道です。書いた原稿は読み上げるためではなく、話す順番を頭に入れるための下書きと考えてください。

声に出して削り、録音して聞き直す
原稿ができたら、声に出して読みながら、なくても意味が通じる言葉を削っていきます。スマートフォンで録音して聞き直すと、早口になっている所や、語尾が小さくなっている所が自分でもはっきり分かります。
録音を聞くのは恥ずかしく感じるものですが、話し方の癖に気づく一番確かな方法です。1回目と1週間後の録音を聞き比べると、話す速さや間の取り方が変わっていることに気づけて、続ける励みにもなります。

慣れたらその場でテーマを決めて話す
原稿ありのスピーチに慣れたら、次はその場でテーマを決めて、原稿なしで1分間話してみます。最初の一文で結論を言い、理由を1つ、具体例を1つ足すという型だけ決めておけば、頭が真っ白になりにくくなります。
型が体に入ると、会議で急に意見を求められた時も、同じ順番で落ち着いて話せるようになります。1分間スピーチは、毎日の会話の土台を作る練習です。
話し上手を遠ざけるやってはいけない努力

原稿を一字一句丸暗記する
大事な場面ほど、話す言葉をすべて暗記したくなります。でも丸暗記した言葉は、一か所忘れると次が出てこなくなり、かえって頭が真っ白になる原因になります。覚えるのは、話す順番と最初の一文だけで十分です。
この記事を監修した吉松欣史も、NHKの新人時代に任された京都・祇園祭の生中継で、丸暗記して本番に臨んだ時の怖さを経験しています。
元NHK
アナウンサー
ヨシ
ルーキー時代、祇園祭の生中継を任されたとき。コメントを一字一句、丸暗記して本番に臨んだのに、始まった瞬間、全部、飛びました。
面白い話をしようとする
「何か面白いことを言わなければ」と考えるほど、話しかけること自体が重い仕事になります。仕事の場で求められているのは、笑いではなく分かりやすさです。オチのない話でも、相手に伝わればそれで十分です。

面白さを狙うより、相手が知りたいことに短く答える方が、結果として「話しやすい人」と思われます。雑談が苦手な方は、雑談力の鍛え方もあわせて読んでみてください。
場数を踏めば慣れると思い込む
人前で話す回数を増やせば自然に慣れる、と考える人は多いものです。ただ、毎回緊張で失敗したまま回数だけを重ねると、「やっぱり自分は話せない」という記憶がたまり、苦手意識が強くなることがあります。

大切なのは回数より、小さな成功を1つずつ積み上げることです。少人数の打ち合わせで結論から話せた、といった小さな成功を数えていく方が、本番での自信につながります。
場面別:仕事の雑談・会議・人前のスピーチで話し上手になる話し方

雑談で話題が浮かばないとき
雑談で何を話せばいいか分からない時は、天気や季節、相手の持ち物など、2人とも目に入っているものから話しかけてください。話題を探すより、相手の答えから言葉を1つ拾って質問を返す方が、会話はずっと続きやすくなります。
自分「今日は一気に寒くなりましたね。もうコートですか?」
相手「そうなんです。昨日出したばかりで」
自分「早いですね。毎年このくらいの時期に出すんですか?」

会議で意見を短く伝えるとき
会議で発言する時は、「結論→理由→次にすること」の順で3文にまとめると、短くても伝わります。「私はA案に賛成です。理由は費用が2割下がるからです。来週までに見積もりを取り直します」という形です。
発言のタイミングを逃しがちな人は、会議の前に最初の一文だけ決めておくと話し出しやすくなります。会議で言葉が出てこない悩みは、あがり症の改善方法でも詳しくまとめています。

人前のスピーチ・プレゼンのとき
人前で話す時は、聞き手一人ひとりと会話するつもりで、会場の何人かに順番に目線を配ります。大勢に向けて話そうとすると緊張が強くなりますが、目の前の1人に話しかけるつもりになると、声も表情も自然になります。
スピーチの冒頭は、結論か、聞き手に問いかける一文から始めます。最初の一文がうまく出ると、そのあとの話は流れに乗りやすくなります。1分間スピーチで身につけた「結論・理由・具体例」の型が、そのまま使えます。
仲間内では話せるのに、人前だと頭が真っ白になるのはなぜ?

話す力ではなく緊張が言葉を止めている
仲間内では普通に話せるのに、会議や人前に立つと言葉が出てこない。そんな人は、話す力が足りないのではありません。普段は話せているのですから、話す力そのものはすでに持っています。
人前で言葉を止めているのは、「どう見られているか」が気になって起こる緊張です。緊張で頭が真っ白になるのは、性格や能力の問題ではなく、誰にでも起こる体の反応です。
元NHK
アナウンサー
ヨシ
早口になる、語尾が小さくなる、口癖が増えるといった反応も同様に、緊張したときに誰にでも起こりうる、体の反応に近いものです。
※出典:TID「職場での話し方に関する意識調査2026」監修者による解説
※眠れない・出勤できないなど生活に支障が出ている時は、心療内科などの医療機関に相談してください。
元NHKエグゼクティブアナウンサーが大切にしている「伝える」ための考え方
この記事を監修した吉松欣史は、NHKで32年間アナウンサーを務め、サッカーW杯やオリンピックの実況を担当しました。現役時代には、何百人もの一流アスリートに、プレッシャーとの向き合い方を直接取材しています。

吉松は、その経験から、「どう見られるか」への意識を「何を届けるか」へ転換することを指導の柱の1つにしています。うまく見られようとするほど緊張は強くなり、相手に何を届けたいかに意識を向けるほど、言葉は自然に出てきます。
※出典:吉松欣史 講師プロフィール(指導の3つの柱・トライアングルメソッド)
話し上手になるコツでよくある誤解・注意点

💡 「話し上手=口数が多い人」ではない
話し上手は、たくさん話す人ではなく、相手に分かりやすく伝えられる人です。口下手な人でも、結論から短く話せれば十分に話し上手です。
「話し上手は生まれつきの才能」という思い込みも手放してかまいません。話す順番や間の取り方は、練習で身につく技術です。アナウンサーも、最初から上手に話せたわけではありません。
注意したいのは、一度に全部を変えようとすることです。練習は1日1つで十分です。うまく話せなかった日を数えるより、結論から話せた日を数える方が、長く続けられて自信にもつながります。

人前に立つと緊張で頭が真っ白になる方は、話し方の技術より先に、緊張との付き合い方を知ると楽になります。普段は話せているのですから、緊張がほどければ本来の力を出せるはずです。
人前で話す時の緊張(あがり症)が悩みの中心の方へ。吉松欣史が、緊張と付き合いながら話すための考え方をお伝えする無料のオンライン勉強会があります。
講師の吉松欣史は、NHKで32年間アナウンサーを務め、サッカーW杯とオリンピックの実況を担当した元NHKエグゼクティブアナウンサーです。勉強会は無料のオンライン形式で、60分・顔出し不要です。人前で話す時の緊張が悩みの中心の方に向けた内容です。
※通院中・治療中の方は、この記事の方法より主治医の方針を優先してください。
\ 人前で話す時の緊張が中心の方へ /
話し上手になるコツについてよくある質問
Q話し上手になるには、どれくらいかかりますか?
Q口下手は性格なので、もう治らないのでしょうか?
Q早口を直すにはどうすればいいですか?
Q話し上手になるためのアプリや本は役に立ちますか?
Q雑談になると話題が浮かばず、会話が続きません。
Q緊張しやすい性格の人でも話し上手になれますか?
人前で言葉が出てこないのは、あなたの能力が足りないからではありません。人前で話す時の緊張が中心の方は、吉松欣史の無料オンライン勉強会(60分・顔出し不要)で、緊張と付き合いながら話すための考え方に触れてみてください。吉松自身も、新人の頃に生中継で頭が真っ白になった経験を持つ講師です。
講師の吉松欣史は、NHKで32年間アナウンサーを務め、サッカーW杯とオリンピックの実況を担当した元NHKエグゼクティブアナウンサーです。勉強会は無料のオンライン形式で、60分・顔出し不要です。人前で話す時の緊張が悩みの中心の方に向けた内容です。
※通院中・治療中の方は、この記事の方法より主治医の方針を優先してください。
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