こんにちは!キャスターとして6年間、多くの人にインタビューをしてきた松岡です。
取材・インタビュー相手は、そのほとんどが初対面。
そんな取材相手との距離を縮めるためには、「目を適切に見て合わせること」が大切なんです。
相手の目をみて話すことができれば、
- 初対面の人と打ち解けられる
- 相手が心を開いてくれる
- 相手の考えていることがわかってくる
- 会話のテンポがよくなる
など、コミュニケーションがどんどんとスムーズになっていきます。
ただ単に相手の目を見れば良いだけではありません。
先ほどもお伝えしましたが、目を合わせるのは「技」なんです。
技を習得するためには、ちょっとしたコツとポイント、踏むべきステップがあります。
目を合わせられなくて悩んでいるあなた、これを読めばインタビュアーのように自信をもって相手の目をみることができるようになりますよ。
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1.目を合わせられないと印象悪化にもつながる
まずは、あなたが普段よくみているニュース番組のアナウンサーを想像してみてください。
あなたに対して喋りかけるように、下を向かず、前を向いてニュースを読んでいませんか?
アナウンサーの目の前にはカメラしかありませんが、カメラの向こうにいる視聴者を想像しながら伝えているのです。
仮に、手元にある原稿ばかり読んでいて、顔が下を向いている時間が長いアナウンサーがいるとどうでしょうか。
- ニュース内容が伝わってこないばかりか、
- 読むことに必死だな
- 顔の表情がわからないな
- なんだか暗い雰囲気だな
という印象を持ってしまうのではないでしょうか。
この悪い例のアナウンサーがやっていることをあなたがするとどうでしょうか。
あなたと話している相手は、
- 何を伝えたいんだろう
- 自分が話すことに精一杯だな
- 何を考えているんだろう
- 自信がなさげだな
と感じてしまうのです。
もしかすると、とても良好な関係が築ける間柄になるかもしれないのに、目を見ないというだけでその機会を失っています。
目を見て話せるかどうかは、あなたの印象、そしてその後の関係性も変えてしまうのです。
2.まずは目を見て話せない原因を知るべし
相手の目をみて話すための対策をとる前に、まずはその原因を探りましょう。
冷静に自分を分析し原因をみつけられれば、問題点を解消する対策をとっていけば良いのです。
2-1.正視恐怖症
あなたが相手を見ることによって、
- 相手は不快な思いをしないかな
- 相手に嫌われやしないか
- 何かおかしいと思われないかな
などと、恐怖に近い感覚になるのなら、それは正視恐怖症かもしれません。
周りからの視線が気になる…という「視線恐怖症」とは違い、対面する相手を自分が見ることで何か思われるのではないかと感じるものです。
正視恐怖症だと、上手く相手の目をみられずに不自然にそらしてしまったり、目を細めたり力を入れてしまったりといった様々な症状があらわれます。
あまりにも症状が激しく出てしまい、コミュニケーションを図るのが困難な場合は、
- 心療内科
- 精神科
- メンタルクリニック
などに相談することをおすすめします。
正視恐怖症になる原因は、各々はっきりさせることは難しいかもしれませんが、これからご紹介する
- 自分への自信のなさ
- 幼少期以降のトラウマ
などもその原因の1つといえます。
2-2.自分に自信がない
あなたが、どんな人物だったら自信をもって相手の目をみて話すことができますか?
- 容姿端麗なモデル
- イケメンの俳優
などを想像したあなた。
もしかしたら、自分の見た目に自信がなかったり何かコンプレックスがあったりするのかもしれません。
一方、
- 博識なタレント
- 周りの人気者
などを想像したあなた。
そんなあなたは、話す内容やあなた自身の中身に自信がないのかもしれません。
見た目に自信がないという場合は、できるだけ容姿で自信をなくすことがないよう最善をつくしてみましょう。
男性なら、
- ヒゲをきちんと剃る
- 髪を整える
- シワのないシャツを着る
女性なら、
- 肌のケアを怠らない
- メイクを丁寧にする
- 流行のファッションをおさえる
などを心掛けるだけで、随分と見た目への自信のなさが解消されるでしょう。
話の内容や自分の性格に自信がない場合は、
- 内容は面白おかしくよりも事実を丁寧に伝える
- オーバーに伝えることよりも誠実に伝える
ことを心掛けてみてください。
丁寧に誠実に伝えようと意識すると、自然と相手の目をみて相手のペースを意識できるようになります。
そうすると、相手はあなたの話し方、話す内容に信頼してくれるようになります。
あなた自身も、信頼されたことによって自信を少しずつ取り戻しながら話せるようになるはずです。
2-3.過去のトラウマ
目を見て話せない原因として、幼少期~成長期にかけてなど、何かしらのトラウマを負ったことで相手の目を見ることが困難になったことも考えられます。
例えば、
- 目線がおかしいと言われた
- 目つきが悪いと言われた
- 見た目のコンプクレックスを指摘された
- 大勢の前で喋れなくなった
- 話し方を笑われた
など、様々に考えられます。
人目が気になりだした時期に、見た目のことで指摘をされればコンプレックスとなり、それが自信をなくすことにつながりトラウマになることもあるでしょう。
また、話す行為自体で笑われたり、嫌な思い出ができてしまったりすれば、それがトラウマとなって人と話すことが苦痛になることもあるでしょう。
トラウマを克服することはなかなか容易ではありません。
ですが、先ほど説明した自信を取り戻すための対策をとり、これからご紹介するステップを順に踏んでいけば、そのトラウマも少しずつ解消されるかもしれません。
3.目を見て話せるようになる最善のステップアップ対策
相手の目を話せないというあなたが、いきなり大事な商談相手や気になる異性など、大切な人の目を見て話そうとするのは無理なことです。
目を見て話せるようになるには、ゆっくり着実にステップアップをしていきましょう。
これからご紹介するステップは、アナウンサー・キャスターも実践する方法です。
3-1.【ステップ1】相手の目は見続けなくてよいことを知る
目をみて話すためのステップなのに意外と思われるかもしれませんが、相手の目は見続けなくて良いのです。
逆に、見続けることは相手にストレスになってしまいます。
アナウンサーのニュースを思い出してみてください。
ずっとカメラ(視聴者)の方を見ながら話すのではなく、時折、手元の原稿をみるために下を向いて目線をそらしていませんか?
実は、あれはテクニックでわざと目線をはずしているのです。
アナウンサーの手元の原稿は、目の前のカメラに映し出されていて、手元をみなくても前を見ていれば原稿を読むことができるようになっているのです。
それにも関わらず、あえて顔を下に向けるのは、視聴者に「ずっと見られている」というストレス、不快感を覚えさせないためなのです。
これは普段の会話でも同じことです。
相手の目を全く見ないことは、印象が悪く失礼な人だと感じさせますが、それ以上に目を見続けることは、相手にさらなる不快感を与えます。
目をじーっと見るのではなく、時折相槌を打ちながら目線を外したり、話の内容を整理するときに他の方をみたりすると良いでしょう。
相手の目はあまり見なくて良かったんだ、とわかると、目を見て話すことへのハードルが随分と低く感じられるのではないでしょうか。
3-2.【ステップ2】目ではなく眉間付近を見る
ドラマや映画などでは、出演者同士の距離が近く、目をみつめあって瞬きする回数も少なく会話をしていますが、現実世界でそれを実践するととても不気味ではないでしょうか。
ステップ1でもご紹介しましたが、人は目を見つめられ続けるとプレッシャーを感じてしまいます。
同様に、目だけをしっかりと見られていると話せるものも話せなくなってしまいます。
アナウンサーもよく実践する方法なのですが、一対一で長時間インタビューをしなければならないとき、相手の目ではなく、眉間やまぶた、眉のあたりをぼんやりと見ているのです。
これは、相手の目を見て自分が緊張しないためだけでなく、相手にリラックスして話してもらう上でも有効的な方法です。
人は、目をみられているか、眉間付近を見られているかは意外とわからないものです。
それでいて、眉間付近を見られている時の方が圧力を感じることがないのです。
目を見つめなければ良いのなら、鼻の辺りを見るのはどうか、と思われる方もいるかもしれません。
ですが、鼻になると、目との位置の違いが割とはっきり出てきてしまいます。
そうなると、相手から
- どこを見ているんだ
- 話を聞いているのか
- 心ここにあらず?
と思われてしまう恐れがあるので、鼻ではなく、やはり眉間付近を見ることをおすすめします。
3-3.【ステップ3】重要なことを伝えるときに目を見るようにする
常に目を見て話す必要がないこと、そして、目そのものではなく眉間あたりを見ることをお伝えしました。
しかし、目をしっかりと見た方が好印象を与えられるときがあるのです。
それが、重要なことを伝えるときです。
これだけはしっかりと相手に伝えたい、という言葉、内容で相手の目をみて発言するのです。
アナウンサーの場合は、これは「カメラ目線で伝える」ということになります。
例えば、あるインタビュー番組でアナウンサーが、ある女性の俳優さんをインタビューするとしましょう。
以下の発言で、色をつけた部分が、カメラ目線で(相手の目を見て)伝えると効果的な部分になります。
- 誰がゲストなのか(基本情報)
- 驚くべき年齢(刺激情報)
- 宣伝内容(未来情報)
を強調してカメラ目線で伝えています。
では、友人との会話を例に、どこを相手の目を見て話す内容かを考えてみましょう。
数人でのグループ旅行の計画をたてているところと設定します。
あなた「今日は、北海道旅行の2日目のプランについて相談したいと思って」
友人「うん。この前も色々考えたけどみんなの意見がまとまらなかったよね」
あなた「そうだね。食にこだわる人、天気を気にする人、アクティブに動きたい人といるからね…」
友人「もう何人かに別れて行動するしかないって感じかな?」
あなた「それが、みんなで一緒に行動できるいいアイデアがみつかったの!」
友人「なになに!?」
あなた「このガイドブックみて。最初はここで外を散策して、お昼はここで海鮮丼が食べられるの。
もし雨が降ったとしても…近くにこんな施設があるからそのときはこっちに行けばいいし。
午後は、旭山動物公園行って、雪の美術館か乗馬体験とかどうかな?」
友人「へー!いいかも!午後の予定はまたみんなの意見きいてみよっか!」
あなた「そうだね!じゃあ…明日の夕方とかみんなが集まれないかきいてみるよ!」
この会話の基本情報は「北海道旅行の2日目のプランについて」です。
この部分は、何の話が始まるかという要素なので、相手の目を見て伝えるようにしてください。
刺激となる情報は「みんなで一緒に行動できるいいアイデアがみつかった」の箇所になります。
できればこの部分は一文すべて相手の目を見たいところですが、まだ慣れないという人は「みんなで一緒に行動できる」とか「いいアイデア」の箇所だけでも目を見るようにしましょう。
そして、将来の話となる未来情報は「明日の夕方とかみんなが集まれないか」です。
今後の予定の話、日時や場所について伝えるときは、間違えてはいけない情報です。
確認の意味も込めて、相手の目を見て話すようにしてください。
相手の目を見て話すのが苦手というあなたは、今回の例文にもあるように、手元に見せるべき資料などを用意し、そちらに相手の視線と自分の視線を持っていくのも有効な手段です。
カフェやレストランなどでは、注文が終わった後もあえてメニューを広げておき、「こんなメニューもあるんだ…」と相手の目を見なくても良い状況をさり気なく作ると良いですよ。
3-4.【ステップ4】関係が希薄な人で練習
ただでさえ目を見て話すことが苦手なのに、大切な人や苦手意識のある人でこれまでのステップを実践するのは難しいと思います。
アナウンサーも、いきなり一つの企画で大物相手にインタビューができるようになるわけではありません。
最初は「街声」といって、道行く人たちにインタビューをして街の人たちの声をとることで、人の目を見て話すこと、話してもらいたい内容を聞き出す訓練をします。
これと同じように、あなたもまずは関係が希薄な人でこれまでのステップを実践してみましょう。
例えば、スーパーやコンビニなどの店員さんからお釣りを受け取るときに、
「ありごとうございます。」と伝えてみましょう。
目を見て言わなくても、眉間の辺りをみて一言だけ伝えれば良いのでさほど勇気もいらないのではないでしょうか。
しかし、訓練にはある程度の会話量も必要です。
次は、携帯電話のショップの店員さんや、洋服屋の店員さん、美容師さんなど、比較的長く話す立場の人と会話をしてみましょう。
何か大切なことを質問するとき、これだけは伝えたいというときには、眉間ではなく目をみて話す練習をします。
関係が希薄なので、仮に失敗したなと思うことがあっても、今後深く付き合う必要もないのでショックが小さく済みます。
また、お店の店員さんや美容師さんはトーク力があるので、あなたが言葉に詰まったり困ったりしたときに助け船をだしてくれるでしょう。
人と話すことに慣れている相手と練習をすることで、何か気付けたり、技術を盗めたりするかもしれませんよ。
3-5.【ステップ5】自分のセルフイメージを高める
相手の目を見て話す練習を重ねるとともに大切なのが、セルフイメージを高めることです。
あなたは、あなた自身のことを、
- 目を見て話せない人間だ
- 練習しても目を見るのは苦手なままの人間だ
などと思っていませんか?
このような考え、セルフイメージがあなたの可能性を潰しているのです。
ネガティブな意識を刷り込むのではなく、ポジティブにイメージする癖をつけていきましょう。
- 目を見ることは簡単だ
- 目を見るができる人間だ
- 目を見て話すことが好きだ
と、まずは思い込むのです。
そして、過去にあなたが上手く目を見て話せたときの成功体験を思い出してください。
どんなに幼いときのものでも構いません。
- あのときの自分ができたんだから今も同じようにできる
- あのときはここを意識していたな
- 周りの反応が良かったな
などと、目を見て話せたときの良い感覚を思い出すのです。
成功体験を呼び戻し、自信を取り戻すことがセルフイメージを高めることにつながります。
ここまで、人の目を見て話すための方法をご紹介しましたが、あなたの意識は変わってきましたか?
人の目を見て話せないと悩むあなたは、物事をきちんと伝えなければならないと考える誠実な人物なはずです。
最初から、「相手の目なんて見る必要はない」と考えている人よりも、はるかに伝えようとする力がありますし、その気持ちはコミュニケーション能力をアップさせる上では欠かせないものです。
相手に伝えたいという気持ちをしっかりと持っているあなたが、この記事を参考に目を見て話せるようになり、自信という武器を1つ増やすことを祈っています!
アナウンサー「本日のゲスト、俳優の〇〇〇〇さんです!どうぞ、こちらへ」
アナウンサー「こんにちは、ようこそお越しくださいました。」
俳優「こんにちは」
アナウンサー「それにしても、本当におキレイですね…。お歳をお伝えしてもよろしいですか?」
俳優「ええ…はい。」
アナウンサー「今年でなんと60歳になられるのですよね。信じられません…!
さて、本日は気になるその若さの秘訣に迫るとともに、先日公開された映画「(タイトル)」の役どころについてお話伺っていきます。」