アンガーマネジメントのやり方9つ|6秒で収まらない怒りも職場で口に出す前に止められる

部下の資料を手に、息を吐いて気持ちを落ち着ける男性社員
この記事の監修
吉松欣史

元NHKエグゼクティブ
アナウンサー
吉松 欣史
経歴NHKで32年間。W杯・五輪の生放送実況
専門脳科学・心理学を使ったあがり症の克服

部下のミスに、つい強い言葉が出そうになる。言ってしまってから「あんな言い方をしなければ」と後悔する。そんな経験はありませんか。

この記事では、元NHKエグゼクティブアナウンサー・吉松欣史の監修のもと、怒りを口にする前に止めるアンガーマネジメントのやり方を9つ紹介します。6秒ルールが「意味ない」と言われる理由や、責める言葉の言い換え例もまとめました。

📍 この記事でわかること(3分で読了)
  • アンガーマネジメントとは何か(ひとことで)
  • 怒りを口にする前にできるやり方9つ
  • 6秒で収まらないときの対処と、言い換え例
TOC

アンガーマネジメントとは?怒らないことではなく、怒りで後悔しないための技術

手帳に書きながら落ち着いて考える女性社員

アンガーマネジメントは、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。1970年代にアメリカで生まれたとされています。

※出典:日本アンガーマネジメント協会「アンガーマネジメントとは?」

怒らないことではなく、怒りで後悔しないこと

よくある誤解が、「怒らない人になるための技術」という思い込みです。目指すのは、怒るべきことは上手に伝え、ほかは流せるようになることです。

我慢し続けることでもない

次の3つも、アンガーマネジメントではありません。1つ目は、怒りを消すこと。怒りは自然な感情なので、消さずに扱い方を変えます。

2つ目は、我慢し続けること。ため込むと、あとで大きく爆発しやすくなります。3つ目は、相手に合わせること。伝えるべきことは、落ち着いて伝えてよいのです。

元NHK
アナウンサー
ヨシ

怒りを感じること自体は、悪いことではありません。大切なのは、その怒りをどんな言葉にして相手に渡すかです。

アンガーマネジメントのやり方9つ:怒りを口にする前にできるトレーニング方法

カッとした気持ちをこらえて口を閉じる男性社員

怒りが湧いてから口に出すまでの、ほんの数秒が勝負です。その場ですぐできるものから順に並べました。①〜⑤は、6秒待つ・点数をつける・離れる・決まり文句・仕分けと、その場でできるもの。⑥〜⑨は、「べき」・記録・「私は」・睡眠と時間と、ふだんから積み重ねていくものです。

①6秒待つ(深呼吸を2回・数を数える)

胸に手を当ててゆっくり息を吐く男性社員

カッとしたら、すぐに言い返さずに6秒待ちます。理性が働き出すまでの間、反射的に言葉を返さないためです。待つ間は、ゆっくり息を吐く・心の中で1から6まで数えるなど、やることを先に決めておくと続けやすくなります。

②怒りに10点満点で点数をつける

メモ帳に書き込みながら自分の気持ちを見つめる女性

「今の怒りは10点満点で何点か」を心の中でつけます。点数を考えると、頭が少し冷静になります。目安の例は、次のとおりです。

  • 1〜3点軽いイライラ。その場で流してよいことが多い
  • 4〜6点気になる。落ち着いてから伝え方を考える
  • 7〜10点強い怒り。まずその場を離れる

③その場を一度離れる

給湯スペースで水を飲んで一息つく男性社員

6秒たっても言葉がきつくなりそうなら、「少し資料を確認してきます」と言って席を外します。水を飲む・窓の外を見るだけでも落ち着きます。大事なのは、黙って立ち去らないことです。

④心の中で決まり文句を唱える

目を閉じて心の中で言葉を唱える女性社員

「大したことじゃない」「今は言わなくていい」など、自分を落ち着かせる短い言葉を1つ決めておきます。カッとしたら、それを心の中で唱えます。言葉は、自分がしっくりくるものなら何でも構いません。

⑤変えられることと変えられないことを分ける

付箋を2つのグループに分けて整理する男性社員

電車の遅れや相手の性格のように、自分では変えられないことに怒っても状況は変わりません。怒りを感じたら、次の3つに分けてみます。

  • 変えられて、大事なこと落ち着いて、今伝える
  • 変えられないが、大事なこと受け入れて、自分の動きを変える
  • 大事ではないこと流す。口に出さない

⑥「こうあるべき」を書き出してゆるめる

カフェでノートに考えを書き出す男性

怒りの多くは、「時間は守るべき」「報告はすぐするべき」といった自分の中の決まりを、相手が破ったときに生まれます。自分の「べき」を書き出して、「ここまでなら許せる」という幅を決めておくと、小さなことで怒りにくくなります。

⑦怒った出来事を記録する

スマートフォンにメモを入力する女性社員

怒ったときに「いつ・どこで・誰に・何に・何点」をメモします。スマホのメモで十分です。続けると、自分が怒りやすい場面や時間帯が見えます。

⑧「私は」で気持ちと要望を伝える

部下に落ち着いて気持ちを伝える男性上司

怒りを伝えるときは、「あなたは」ではなく「私は」を主語にします。「なんでできないの?」ではなく「私は困っている。次は〇〇してほしい」と伝えると、相手は責められたと感じにくくなります。具体的な言い換えは、このあとの章で紹介します。

⑨睡眠と時間に余裕を作る

朝、ゆとりを持って目覚める男性

寝不足や空腹、時間に追われているときは、同じ出来事でもイライラしやすくなります。まずは寝る時間を決めて、夜ふかしを続けないようにしましょう。

予定は詰め込みすぎず、移動に余白を作っておきます。それから、お腹がすいたまま大事な話をしないこと。どれも、イライラしやすい状態を先に避けるための工夫です。全部をやる必要はありません。まずは①〜③のどれか1つを、明日の職場で試してみてください。

アンガーマネジメントの6秒ルールは意味ない?6秒待っても怒りが収まらないときの対処

廊下で窓の外を見ながら深呼吸する男性社員

「6秒待っても全然収まらない」「アンガーマネジメントは意味ない」という声もあります。ここでは、6秒の本当の目的と、収まらないときの対処を順に見ていきます。

6秒は怒りを消す時間ではなく、言葉を止めるための間

6秒で怒りが消えるわけではありません。6秒の目的は、カッとした勢いで言葉を口に出さないこと。怒りそのものを消す時間ではないのです。協会は6秒ルールを、理性が働くまでの6秒間「反射」をせずにやり過ごすことだと説明しています。

※出典:日本アンガーマネジメント協会「アンガーマネジメントは効果がないって本当?」(2023年8月1日)

「意味ない」と感じるのは、6秒で消そうとするから

協会も、一度きりの受講では効果を感じにくく、正しい理解と訓練が必要だとしています。

収まらないときは「あとで話します」と伝えて離れる

離れる前の一言は、相手によって変えると角が立ちません。上司になら「確認して、あとでご報告します」です。部下には「10分後にもう一度話そう」、同僚には「少し考えてから返事するね」。一言添えれば、相手を置き去りにしません。

時間を置いてから話すときの順番

  • 1. 事実「〇時の締切に資料が届かなかった」
  • 2. 気持ち「私は取引先への説明に困った」
  • 3. 要望「次は遅れそうなら前日に教えてほしい」

アンガーマネジメントの例文:責める言葉を「私は」に言い換える

部下と向かい合い穏やかに話す女性上司

同じ怒りでも、言い方ひとつで相手の受け取り方は大きく変わります。相手も自分も大切にする伝え方は、アサーショントレーニングでも練習できます。

「何でこんなことしたの?」の言い換え

まずは「何があったか、先に教えてくれる?」と聞きます。理由を問い詰めると、相手は言い訳を考え始めます。まず事実を聞くほうが、次の話し合いにつながります。

「前にも言ったよね?」の言い換え

「前にも言ったよね?」と言いたくなったら、「大事なところなので、もう一度確認させて」と伝えます。過去を責めず、これからのための確認にするのがコツです。

「いつも」「絶対」を使わない

「いつも遅れる」「絶対に確認しない」のような言い方は、「そんなことはない」と反発されやすくなります。「今回は」「この件は」と、1つの出来事に絞って伝えましょう。

元NHK
アナウンサー
ヨシ

怒っているときほど、声は大きく、早口になりがちです。ひと呼吸おいて、ゆっくり低めの声で話すだけで、同じ言葉でも相手への届き方が変わりますよ。

職場でのアンガーマネジメント:部下のミス・上司の理不尽・会議での反論

会議で相手の意見にうなずきながらメモを取る男性

どの場面も、口に出す前の一手と、伝える言葉をセットで用意しておきます。

部下がミスをしたとき

まず6秒待ち、責める前に何が起きたかを聞きます。伝えるのは「次は〇〇してほしい」という要望を1つだけです。人前ではなく、1対1で短く話すのが基本です。強い口調で繰り返し責めると、パワハラと受け取られるおそれもあります。詳しくは部下の叱り方の手順と例文へ。

上司に理不尽なことを言われたとき

理不尽だと感じても、その場では言い返さず、言われた事実をメモします。落ち着いてから「確認して、あとでご相談させてください」と伝えます。

会議で反対意見にカッとしたとき

反対意見にカッとしても、すぐに言い返さず、まず相手の意見を一文で言い直し、「〇〇というご意見ですね。私は〜と考えます」と返します。

アンガーマネジメントができない人が怒りを口に出してしまう3つの原因

夜、ノートに今日の出来事を書き出す男性会社員

同じ出来事でも、怒りを口に出す人と出さない人がいます。口に出してしまうときに見直したい原因を、「べき」の思い込み・疲れ・隠れた気持ちの3つに分けて見ていきます。

「こうあるべき」という思い込み

自分の中の「べき」を相手が破ると、怒りが湧きます。「べき」は人によって違うので、自分の当たり前が相手の当たり前とは限りません。

疲れ・睡眠不足で余裕がない

心と体に余裕がないと、ふだんなら流せることにも反応しやすくなります。やり方⑨で睡眠と時間に余裕を作るのは、この状態を先に避けるためです。

本当は不安・悲しみ・焦りがある

怒りの下には、「失敗したらどうしよう」という不安や、「分かってもらえない」という悲しみが隠れていることがあります。怒りだけを抑えようとせず、その下にある気持ちにも目を向けてみましょう。

仕事帰りに川沿いで立ち止まり、自分の気持ちを振り返る女性

怒りを感じたら、まず「何の『べき』が破られた?」と自分に聞き、その決まりを言葉にします。次に「今、疲れていない?」と寝不足や空腹、忙しさを確かめ、最後に「本当はどんな気持ち?」と不安・悲しみ・焦りを見ます。

元NHKエグゼクティブアナウンサー吉松欣史が大切にしている「落ち着いて伝える」考え方

原稿を手に落ち着いて話す練習をする男性

NHKで32年間、W杯やオリンピックの生放送実況というやり直しのきかない本番を数多く経験してきた吉松欣史。その経験から大切にしているのが、次の考え方です。

感情が高ぶったら、話す前に間を取る

気持ちが高ぶると、呼吸が浅くなり、話すスピードも上がります。話す前にひと呼吸おくことが、落ち着いて伝えるための基本です。

気合いではなく、仕組みを知る

落ち着いて話すのに必要なのは、気合いではありません。「なぜ感情が高ぶると言葉が乱れるのか」を知ることで、対処の仕方が見えてきます。

感情的にならずに話せるようになりたい人へ:無料の勉強会という選択肢

オンライン勉強会を見ながらメモを取る女性

やり方を試しても、「感情が高ぶると言葉が乱れる」「大事な場面ほど頭が真っ白になる」と感じるなら、それは性格ではなく、緊張や感情への向き合い方を学ぶことで変えられる可能性がある領域です。

こんな人に向いています

伝えたいことが、きつい言い方になってしまう。整理できているのに、言葉が出てこない。「昔からこうだから」と、性格のせいだと諦めている。1つでも思い当たるなら、のぞいてみてください。

無料の勉強会で分かること

話すのは、元NHKエグゼクティブアナウンサーの吉松欣史です。「あがり症を書き換えていく根本改善プログラム」の考え方を、無料のオンライン勉強会(60分・顔出し不要)でお伝えします。

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よくある質問

Qアンガーマネジメントは意味ないという声もありますが、本当ですか?
6秒で怒りが消えると期待すると、「意味がない」と感じやすくなります。アンガーマネジメントは怒りを消す方法ではなく、怒りで後悔しないためのトレーニングです。日本アンガーマネジメント協会も、正しい理解と訓練が必要だとしています。
Q6秒待てば、本当に怒りは収まりますか?
6秒で怒りが消えるわけではありません。6秒は、カッとした勢いのまま言い返さないための間です。収まらないときは、一言断ってその場を離れましょう。
Q怒りっぽいのは性格だから直らない?
怒りやすさには、「こうあるべき」という考え方や疲れ具合も関わっています。怒った出来事を記録して、自分が怒りやすい場面を知ることから始めてみてください。
Q家族や恋人にも使えますか?
使えます。「私は」を主語にして気持ちと要望を伝えるやり方は、家庭でもそのまま使えます。
Q部下を叱ること自体もやめたほうがいいですか?
やめる必要はありません。叱るべきことは人前ではなく1対1で、責める言葉ではなく、次にしてほしいことを具体的に伝えましょう。
Qどのくらいで身につきますか?
人によって違います。まずは6秒待つ・その場を離れるなど、1つのやり方を毎日続けることから始めてみてください。

感情が高ぶると言葉が乱れてしまうのは、あなたの性格のせいではありません。吉松欣史の無料オンライン勉強会で、緊張や感情と上手に付き合うための考え方を60分で体験してみてください。

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